12月は忘年会シーズンが続き、クリスマスが終わったかと思うとあっという間に正月と、楽しいイベントが続く。

 実はこの時期は、暴力団のヤクザたちにとっても「めでたい」行事が続く時期である。華やかな空気が流れる年末年始、ヤクザたちはどんな風に過ごしているのか。暴力団の幹部たちから「ヤクザと正月」の意外な実態について話を聞いた。

 12月13日、国内最大の暴力団「6代目山口組」は1年の締めくくりであり、事実上の新年会にあたる「納会」を静岡県内の傘下組織の事務所で開催した。警察当局の捜査員が監視するなか、6代目山口組組長の司忍や、直参と呼ばれる直系組長らが集まった。

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6代目山口組の司忍組長

 組長と新たに子分となった幹部の間での盃儀式などが行われた後、ナンバー2である若頭の高山清司が代表して組長への挨拶を述べ、昼食会ではカラオケで歌声を披露する幹部もいたという。

「年末年始は稼ぎ時だから。明治神宮なんかは…」

 12月の半分も終わっていない時期に「新年会」とは気が早いが、6代目山口組以外にも、この時期に新年の行事を開催する暴力団組織は多い。

 その理由についてあるテキヤ系の暴力団幹部は「年末年始は稼ぎ時だから」と話した。初詣客で賑わう全国各地の神社仏閣の露店が、暴力団の資金源になっているのは有名だ。

「大晦日から正月の元旦は多くの初詣客が訪れる。東京で言えば、明治神宮なんかは大晦日の夕方あたりから初詣のお客さんが集まりだして、徹夜で元日の夜まで商売が続く。その後の三が日もお客さんは絶えない。その商売の仕込みや露店の場所決めなどの会合で12月の中旬以降は忙しいんだ。今年の年末年始は天気が良さそうだから期待できる」

明治神宮 ©AFLO

 各地域の有名な神社仏閣には、ほとんどの場合テキヤを管理している暴力団がついている。露店を出す人はそのヤクザに申請し、地域によって差はあるが1万円ほどのショバ代(場所の使用料)を支払うことが多い。申請を受けたヤクザは、同じ商品のテキヤが近いエリアに重ならないように調整して営業場所を指定する。