「人気がある初詣スポットでも、店を構える場所によっては利益に差が出る」とも明かす。屋台の商品はりんご飴やたこ焼きなど数多いが、「粉ものは儲かる」と強調した。
「ベビーカステラなんかは材料が小麦粉と水、砂糖ぐらいだから、材料費はわずかで利益が大きい。上手く配合すればお客さんが前年の味を覚えてくれていて、また来てくれることもある。たこ焼き、お好み焼きなどもそうだ。綿菓子も材料は砂糖だけだから同じ理屈で利益率は高い。ウチは多ければ5店舗ほど出すが、儲かる時は1店舗で100万円以上ということもある」
「年末の2週間で1000万円以上になることも。親分に200万円ぐらいを届けて…」
テキヤ系以外の暴力団に話を聞いても、答えは「年末は忙しい」というものだった。首都圏に活動拠点を構える博徒系の暴力団幹部は、年末年始の活動実態をこう話す。
「かつて我々の業界の景気がよかったころは、12月上旬から地域のクラブやキャバクラ、居酒屋、パチンコ店などに正月用の門松やしめ縄などの松飾り、鏡餅の注文を聞いて回っていた。鏡餅は5万円、松飾りは20~30万円ぐらいで売って、若い衆に配達させる。年末の2週間で1000万円以上になることもあった。そのうち親分のところに200万円ぐらいを届けて、仕入れ費用や配達の経費などを差し引いても自分の手元にはかなり残った」
ただお正月についてはテキヤと違い「比較的のんびりだ」とも話す。
「元旦は家族と過ごす。2日は我々子分が揃って本家の親分のところにおじゃまして、若頭が代表して新年のあいさつの口上を述べる。その後は食事会だ。この時に親分から『お前の所には小さい子供がいたよな。これを持って行け』と子供へのお年玉をもらうこともあって、中には10万円が入っていた」
2日に本家の親分に挨拶に行き、3日になると今度は“立場が逆”になったという。
「3日になると、今度は自分が子分たちから新年の挨拶を受ける。ここでも食事会となるが、適度な時間で解散することが多かった」
ピラミッド型の階層組織である暴力団組織ならではの新年の光景と言えそうだ。