がっつり納骨してから人生を終わりにすることが目標
――自立したふたりが一緒にいるという意味では、籍を入れなくてもいいような気もしてしまうのですが、法律婚を選択したのはどうしてですか。
壇 清野さんや彼の親御さんが亡くなるとき、近くにいられないのが嫌だったんです。自分の両親含め、私が彼ら全員をがっつり納骨して、「はい、お疲れさまでした」と言ってから人生を終わりにすることを目標にしているので、籍を入れる必要があったんです。
だから私は、納骨がしたかったんでしょうね。
――思い描いている理想の「お見送り」はありますか。
壇 全然、何でもいいです。ただ、この国で埋葬するには焼くことが前提だと思うので、結局、写真とお骨だけ残って、何十年か後には何もなくなっていくでしょう。
でも、確実にその手助けをしたということで、「ああ、よかった」と思って安心してこの世を去りたい。家族の愛って、旅行に行ったり食事をしたりすることだけじゃなくて、彼らの後始末をちゃんとしてあげることが最大の愛、家族の最終形態だと私は思っているんです。
ずっと一緒にべったりではないけど、つながりはちゃんとある
――改めて、結婚生活の5年間を振り返っていかがですか。
壇 今、私の心や体の問題で清野さんにすごく遠慮させてしまっているので、これからもう少し距離が縮まったらうれしいなと思います。清野さんだって本当は一緒にどこか行ったり食事を取る機会も増やしたいでしょうに、それが現状、なかなかできずにいるので。
でも、清野さんは今漫画に集中して、私も治療に集中する時期だと分かってくださっている。ずっと一緒にべったりではないけど、つながりはちゃんとあることが分かっているので、しばらくしたら、物理的に一緒にいる時間が増やせたらこんなにうれしいことはないです。
――復帰についても思うところはありますか。
壇 毎日毎日、ちゃんと復帰できるのかどうか考えてしまいます。ただ、そればっかり考えてもしょうがないので、今は「清野支靜加」として生きることも、「壇蜜」として生きることも両方、何とか始められたということに集中しています。
今は地固めの時期なんでしょうね。一回緩んでしまった地盤を、もう一回立て直すようなタイミングなんだと思って、時間がかかっても、めげずにやっていけたらいいなと思います。
――デビューしてからここまで長くお休みをされたのははじめてですか。
壇 ゆっくり仕事をしている時期もありましたけど、入院というのは初めてだったので、2023年の30~40%を病院で過ごしたという事実は、私の中ではずっと重いものとして残っています。
でも、それを立て直せるように、私の時間に付き合ってくれる清野さんがいて、親やマネージャーがいることもわかった。皆さんの気持ちに応えたい気持ちはいっぱいあるけど、それがすぐにはできないもどかしさがあって。そのふたつの気持ちを抱えながら、投げ出さず、今をちゃんと生きようと思います。
写真=鈴木七絵/文藝春秋
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