閉じ込め事件の意外な原因「以来、トイレの扉をそうっと閉めるように…」
知り合いの編集者が列車のトイレに入り、勢いよく扉を閉めたら握りの金具(取っ手)が弾みで脱落し、出られなくなってしまった。落ちた取っ手でコツコツと中からノックし続けたところ、他の乗客に気がついてもらえて助かった……。
この話を聞いてから、谷崎潤一郎もトイレの扉をそうっと閉めるようにしたそうだ。ボタンを押せば引き戸タイプの扉が自動で閉まるいまのトイレなら、谷崎のような心配をする必要もなさそうだ。古い車両の古いトイレのときには皆様もご用心。
と、こんなところだが、いずれにしてもいまの快適な新幹線のトイレも、一夜にして実現したわけではない、ということはなんとなく分かっていただけたのではなかろうか。
ちなみに、東海道新幹線に登場して話題の女性専用トイレ。すでに東北新幹線や上越新幹線、北陸新幹線などには導入済みだ。
ついでにいうと、洋式トイレも東海道はやや遅れている。東北新幹線などは1990年代前半には和式から洋式へとシフトチェンジ。ところが、東海道新幹線は洋式と和式のいずれもを設置し続けている。
男性ビジネスマンの利用が中心で、和式に馴染んでいる人が多いから、と当時は理由を説明していた。なんだか、女性専用トイレの導入が遅くなったのと共通している背景があるようだ。
とはいえ、新幹線にしろ特急にしろ、スペースに限りがある中でここまで快適なトイレに進化させてきてくれたのは、鉄道会社をはじめとする先人たちの努力のおかげ。ヘンな使い方なんて決してせずに、次の人のことも考えて、トイレはキレイに使いましょう。
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