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 長峰真弓は中山の当たり役となり、1999年公開の『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』にも再登場する。同じ年にはフジテレビのドラマ『彼女たちの時代』で、同世代の深津絵里や水野美紀とともに仕事や恋に揺れ動く等身大の20代OLを演じ、話題を呼んだ。

『彼女たちの時代』のプロデューサーは中山に『ガメラ』が好きだと言ってくれたという(『戦う女優(ヒロイン)』)。このドラマで彼女が演じた浅井次子は、男性優位の社会に毅然と立ち向かっていく女性として描かれた。そこには長峰のキャラクターも反映されていたのかもしれない。

フジテレビ系『彼女たちの時代』(1999年/FOD番組ページより)

 中山は、映画をフィルムで撮っていた時代より、現場で職人気質のスタッフからときに怒鳴られながらも俳優として経験を積んできただけに、映画に育てられたという思いが強い。その後も、『千年の恋 ひかる源氏物語』(2001年)や、フジテレビのドラマを映画化した『大奥』(2006年)などの話題作に出演している。2021年公開の『いのちの停車場』では、東映の岡田裕介元会長(公開の前年に死去)から直々にオファーを受け、主演の吉永小百合の母親役を演じた。

100本を超える2時間ドラマに出演

 テレビでは100本を超える2時間ドラマに出演し、いまや“2時間ドラマの新女王”の異名をとるまでになっている。昨年には桂正和の往年の人気コミックを連続ドラマ化した『ウイングマン』(テレビ東京)で、変身ヒーローに憧れる主人公の少年を温かく見守る母親を演じた。この起用に喜んだ特撮ファンも多いのではないか。

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 もっとも、彼女のなかには特定のジャンルや役どころにこだわりはない。《これは20代の頃から言ってるんですけど、母親の年代になったら母親役を、おばあちゃんの年代になったらおばあちゃんの役を、そして天使も悪魔も両方やりたい。2時間ドラマで言えば犯人も警察側も》とあくまで貪欲だ(『週刊実話』2023年8月17・24日号)。他方で、近年はバラエティ番組でもその天然キャラぶりで笑いを誘い、クールなイメージの姉とはまた一味違う道を歩んでいる。

中山忍のインスタグラムより

 いま一度、話を『ガメラ 大怪獣空中決戦』の頃に戻すと、中山は同作での演技を高く評価され、1995年度のヨコハマ映画祭とブルーリボン賞では助演女優賞を受賞した。奇しくも姉の美穂もこのとき『Love Letter』で主演女優賞を受賞し、両方の授賞式で姉妹そろって同じ舞台に立つことになる。姉にとっても受賞作は俳優人生のターニングポイントとなった作品であった。その意味で、姉妹はこのとき同じスタートラインに立ったともいえる。