あなたにとって、友達とは?

 こう聞かれた時、あなたはどう答えるだろうか。話があって一緒にいると楽しくなれる人? 気を使わずに自分らしくいられる相手? 人によってさまざまな定義があると思うが、とりわけ“学生時代の友達”は不思議な存在だ。

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 その当時はどんなに仲が良かったとしても、ライフステージの変化によって全く会わなくなることもある。仮に会ったとしても学生時代と社会人では価値観はおろか、性格だって変化するため、結果的に話が全く合わずに疎遠になってしまうことだってある。大人になってから新しく友達を作ることと同じくらい、学生時代の友人と友達で居続けることが難しいように感じる。

 そんな年を重ねるごとに複雑に感じてしまう“友達”をタイトルに冠した『佐々田は友達』の最終巻が1月23日に発売された。主人公は、アイデンティティの揺らぎを覚える高校2年生の佐々田絵美。学校では一人静かに過ごすのが好きな佐々田だが、ある日突然クラスの陽キャ・高橋優希にロックオンされるところから物語が始まる。

 

 教室の一番遠くにいた2人は、(マンガなのに)マンガのような奇跡的な絆や感動的な友情を育むこともなく、付かず離れずの絶妙な距離感を歩む……。そんな人間関係のリアルな体温を帯びた本作が描くのは青春時代の特有の光と影だけではない。人と関わることで自身が形成されていく、自己成長や変容の過程までも見事に描き、宝島社「このマンガがすごい!2025」ではオンナ編11位にランクインするなど大きな注目を集めている。