1月17日、大相撲の横綱・照ノ富士が引退会見を行った。「思いどおりの相撲ができなくなり、これ以上、中途半端な気持ちと体で土俵に立つべきではないと感じた」と引退を決断した理由を話し、今後は照ノ富士親方として指導にあたるという。
昨年「週刊文春」は照ノ富士と元横綱・白鵬(現宮城野親方)の関係について報じていた。2017年の“事件”から続く因縁、白鵬現役最後の取組を前に照ノ富士が囁いた「禁断ワード」とは……。当時の記事をあらためて公開する。
(初出:「週刊文春」2024年3月28日号。年齢、肩書は当時のまま)
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2021年7月、名古屋場所。優勝回数44回を数える横綱・白鵬は、打ち出し後の薄暗い廊下で大関・照ノ富士と鉢合わせた。白星を並べ、優勝を争う両者は言葉を交わすこともなくすれ違うはずだった。
しかし薄笑いを浮かべた大関が、横綱の耳元で何事か囁いた刹那、横綱の顔にはみるみる真っ赤な憤怒の形相が浮かんだのだった。
“師匠失格”の烙印を押された白鵬
角界は今、かつての大横綱へのお裁きを巡り、揺れに揺れている。
「元横綱・白鵬の宮城野親方は、暴行問題で引退した北青鵬への監督不行届や暴力の報告義務違反を咎められ“師匠失格”の烙印を押されました」(運動部デスク)
宮城野部屋のその後の展開は不透明な情勢が続いた。
「当初は復活の目がない消滅とも報じられた。所属する伊勢ヶ濱一門は、消滅こそ否定したものの、約20人の弟子の処遇が最大の問題で、複数の部屋に分散させる案が浮かんでは消えてきた」(同前)
“師弟分断”案まで取り沙汰され…
一時は、宮城野親方だけを現役横綱の照ノ富士が所属する伊勢ヶ濱部屋に、弟子たちは大島部屋に転籍させるという“師弟分断”案まで取り沙汰された。
「そこに待ったをかけたのが日本相撲協会執行部でした。最終的には浅香山親方(元大関・魁皇)の下、師弟一同で出直す方針が固まった」(同前)