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綿密な“白鵬無力化計画”

 もとより協会の北青鵬問題への対応は迅速だった。電光石火で張本人を引退に追い込み、宮城野親方を降格するなど綿密な白鵬無力化計画を成し遂げてきた。

無力化されつつある白鵬

 だが、部屋解体後の構想に関しては後手が目立つ。そもそも宮城野部屋所属の親方、力士の処遇については一門に委ねていたはずなのに、なぜ師弟分断にまで具体的に踏み込んだ一門の案にノーを突き付けたのか。協会関係者が声を潜める。

「白鵬と現役横綱の照ノ富士が同じ部屋に所属するのを避けたのでしょう」

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2017年の“正座強要”から続く因縁

 2人の因縁は、2017年の事件に遡る。モンゴル出身の横綱・日馬富士が同郷の貴ノ岩を殴打し、刑事事件に発展した騒動だ。

「殴打事件は日馬富士、白鵬らモンゴルの先輩組が貴ノ岩や照ノ富士ら年下組を説教する場で起きた。その引き金は、貴ノ岩が『あなた達の時代は終わった』などと言い放ったことでした。後輩の増長に激怒した白鵬はその場にいた照ノ富士に対して土下座での謝罪を求めたといいます。当時すでに両膝を痛めていた照ノ富士にとって正座は辛く、いまだに膝の故障に苦しんでいるのもこの“正座強要”と無関係ではないと言われている」(前出・デスク)

仲の良かった時代も

「あなたの時代は終わった。これからは俺の時代だ」

 その因縁が火を噴いたのが冒頭の場面だ。白鵬が「進退を賭ける」と宣言して臨んだ2021年名古屋場所。初日から10連勝を飾った取組の後の出来事である。

 照ノ富士もまた10の白星を数えていた。大先輩と賜杯を争う身に上り詰めた大関は、すれ違いざまモンゴル語でこう言ったのだった。

「あなたの時代は終わった。これからは俺の時代だ」

 この禁断のセリフを突き付けられた夜、白鵬は弟弟子たちを集めて言った。

「力士・白鵬は14日目で引退する。だから、みんなはそれまでに横綱の相撲を目に焼き付けておいてほしい。ただし、千秋楽だけは俺は人間・白鵬翔として照ノ富士をぶっ倒す」