「僕はゲイなので、世間一般の幸せな将来像が描けなかったんです」――大学時代、せっかくの大手企業の内定を得たにもかかわらず、マイノリティであるがゆえに明るい未来を描けなかった、たたさん(35歳)。
その後、コンビニオーナーとして独立するも、不規則な食生活ゆえ、体重は120キロまでに増量。彼はどうやって57キロまでに減量したのか? そして、努力の末に切り開いた「新しい人生」とは?(全2回の1回目/後編を読む)
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兄は超イケメン、でも弟は…親戚から「残念なほう」扱いされた少年時代
──子供の頃からぽっちゃりしていたそうですね。
たた 生まれた瞬間から太っていました。4000グラムぐらいあったみたいで。ちっちゃい頃からまんまるって感じで。高校生になるまでずっと太っていました。
──それはそれでかわいいですが、ご自身としては嫌だな、と?
たた お兄ちゃんがいるんですけど、めっちゃイケメンなんですよ。痩せてて、イケメンで、どれだけ食べても太らない。それで、子どものころから比べられることが多くて。
親戚と会うときも「お兄ちゃんはかっこいいのに残念だったな」「お前は中身で勝負だな」って、いじられるみたいな感じで言われるんです。その場では笑いになるんですけど、「自分もお兄ちゃんみたいに褒められたい」とは思っていました。
──学校でも、体型についてからかわれることもあったそうですね。
たた 中学校の時が一番、からかわれていましたね。野球部だったんですけど、ボール回しの時に「デブ、行くぞ」みたいなことを言う人もいて。笑いにはなるんですけど、こっちはうれしくないじゃないですか。でも別に怒りもせず、ただ「ははっ」って合わせて笑うだけでしたね。一番衝撃だったのが、バイト先の先輩に「気持ち悪い」って言われたんですよね。
──「気持ち悪い」とは?
たた 回転ずしのバイトで、年上のギャルの先輩から言われた言葉です。僕は皿洗いの担当で、シンクの下にある漂白剤を取ろうとしゃがんで立ち上がったんです。その時に、たまたまその先輩と肩がぶつかっちゃったんですよ。そしたら「うわ、キモッ」って言われて。
それまでは、まわりの人は僕の外見を笑いにしてくれているんだと思っていたんです。でも、その先輩に言われて初めて「僕って気持ち悪いって思われているんだ」と知って、ショックでした。
──その先輩と話したことはあったんですか?