床上時間が長いのに睡眠休養感がないと死亡リスク増

 この調査の結果、わかったのは、シニア世代は、睡眠時間が短くても死亡リスクは高まらないが、床上時間が長いのに睡眠休養感がないと死亡リスクが増すということです。

加齢に伴う睡眠時間の変化を説明する吉池室長  ©文藝春秋

「床上時間が7〜8時間で、睡眠休養感あり」の人を基準にすると、「床上時間が8時間以上で、睡眠休養感なし」の人は、1.57倍も死亡リスクが高まります。しかし、「床上時間が8時間以上」でも「睡眠休養感あり」だと、死亡リスクは1.14倍に抑えられました。

 では、働き盛り世代ではどうでしょうか。「睡眠時間が5.5〜7時間で、睡眠休養感あり」の人を基準にすると、「睡眠時間が5.5時間未満」の人では死亡リスクが明らかに高まっていました。そのうち「睡眠休養感あり」の人で1.34倍、「睡眠休養感なし」の人は1.54倍にも死亡リスクが跳ね上がっていました。

ADVERTISEMENT

 また、働き盛り世代では床上時間と死亡リスクの間に、はっきりとした関係性は見られません。つまり、働き盛り世代は、床に長くいても寿命にあまり影響がないものの、6時間を切るような短い睡眠時間で睡眠休養感がないと、かなり健康に害を及ぼすのです。(構成 石井謙一郎)

※本記事の全文は「文藝春秋 電子版」に掲載されています(「睡眠休養感を高める」)。全文では、シニア世代の平均的な睡眠時間、体内時計の加齢による変化、睡眠休養感の重要性、良い睡眠のために避けるべき三大物質、布団の中でしてはいけないことなどについて詳細に語られています。

 

〈特集〉睡眠は最高のアンチエイジング 記事一覧

#6 グッスリ快眠は寝具選びから(埼玉県立大学教授・有竹清夏)
#5 睡眠休養感を高める(国立精神・神経医療研究センター・吉池卓也) この記事
#4 睡眠薬は劇的に変わった(国立精神・神経医療研究センター・松井健太郎)
#3 世界的睡眠研究者の熟睡法(東京大学大学院教授・上田泰己)
#2 カラダは睡眠中に修復される(早稲田大学睡眠研究所所長・西多昌規)
#1 7時間睡眠を取り戻す12のメソッド(筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構機構長・柳沢正史)

 

《私の不眠解消法》
石原良純 父を亡くして急に眠れるようになった
由美かおる お風呂のあとは何もしないで寝る
中村親方 地方場所の必需品は高反発マットレスと…

文藝春秋

この記事の全文は「文藝春秋 電子版」で購読できます
睡眠休養感を高める