藤岡 時代劇に触れることが、だんだん減っているなかで、20代の自分ができることは何か。そういう使命のようなものを感じています。
もともと現代劇でもSFや、CGを使った非日常を扱う作品が好き。時代劇もそう。和装で、古い街並みや家屋のセットを歩く。普段目にすることのないわくわくする世界。日本にしかないジャンルですよね。
言葉で語るより、実際に見てもらい、「もっとこの時代劇の世界を開拓していきたい」と思ってもらえたら、大成功だと思います。
――真田広之さんが主演・プロデュースした配信ドラマ「SHOGUN 将軍」が、第76回エミー賞で史上最多の18部門、第82回ゴールデングローブ賞〈テレビドラマ部門〉で4部門を受賞する快挙がありました。
北大路 真田さんは昔から知っていますが、海を渡って、我々の想像を絶する苦労があったと思う。それを乗り越え、あれだけの努力をされて、「SHOGUN 将軍」にたどり着いた――真田さんの人間力を感じます。日本人として誇らしいですね。
時代劇が海外に広まり、世界で評価されたのは特別なことではないと思います。人の感情は、魅力があって美しいものに惹かれる。壁はないんです。
藤岡 日本の武士の「侍魂」の極致を理解してもらうのに、多くの先輩俳優の方々が苦労され、体現してきた歴史の上に、今回の成功がある、と感慨深いものがありました。真田さんをはじめ、関わった全ての方に対し、尊敬と感謝の気持ちでいっぱいです。
自分はまだまだ未熟ですが、後に続く僕たちに、大きな希望と勇気を与えていただいたと思います。
清左衛門と熊さんも成長?
――「三屋清左衛門残日録」シリーズではお馴染みの、伊東四朗さん・麻生祐未さん・優香さんたちが、今回も脇を固めます。清左衛門との息の合ったやりとりも含めて、多くの人が待ち望んだ最新作。最後に、北大路さんから、一言お願いいたします。
北大路 物語の終わりの方で、熊太(伊東四朗)に「若い人の役に立って、調子に乗っているんだろう」と言われて、清左衛門が「とんでもない、むしろ自分が宝を貰っている」と返す場面があります。そして「共に老いゆく友もおる。年を取るのも悪くない」と続ける……。
若い世代と向き合うのはとても大事、一方で、刺激し合い支え合う熊さんのような存在がある。この第8作で、清左衛門も熊さんも、ずいぶん成長したんじゃないのかな。
●番組情報
「三屋清左衛門残日録 春を待つこころ」
3月8日(土)よる7時ほか 時代劇専門チャンネルにて
「三屋清左衛門残日録 春を待つこころ」の原作は藤沢周平『三屋清左衛門残日録』(文春文庫刊)、「三月の鮠」(文春文庫『玄鳥』所収)。

