清左衛門と若者の絆
――北大路さんと藤岡さんは、初めての共演になりますが、最初の印象はいかがでしたか。
北大路 真威人くん、こんなおじさんを受け入れてくれるかな、と最初は緊張しました(笑)。
殺陣の練習をしているところを見ましたが、実に清々しかった。自分が二十歳のころと比べても、立ち回りが上手で、勘がいい。自分が若いころのことも、思い出しました。
彼のお父さんとは、昔共演をしているので、撮影現場を見にいらしたときは、本当に懐かしくて、涙が出るくらい嬉しかった。親子が似ているか、と聞かれれば、息子さんのほうが、スマートですね(笑)。
藤岡 北大路さんの凄いと思うところは、画面に映ったときのオーラ、存在感です。目がすごくお綺麗だなと思っていましたが、初めて直接お会いしたとき、より強く感じました。何も語らずとも、芝居をしているなかで感じる緊張感――自分も俳優として年を重ねる中で、いつかそういうものを出せる俳優になりたい。そう強く感じました。
――本作では、清左衛門が血気盛んな若い武士を、時に戒め、時に共に戦いながら、固い絆で結ばれていく、というこれまでになかった展開です。
北大路 信次郎のことを、道場での仲間の一人、光り輝いている若者として見ていたら、実はものすごい壁にぶちあたり、複雑な世界を背負いながら、自分自身と戦っている、ということを、清左衛門は知るんです。
そこはダメ、というところは止められるけれど、ほかにどう言えばいいのか、という悩みがあった。だから、信次郎の成長を見たときの喜びは大きい。清左衛門のほうが、引っ張られている気がしましたね。異世代の人と向き合うことで、柔軟になりました。
藤岡 脚本が素晴らしくて、一人一人が魅力的。僕は、すごく信次郎に共感できました。成人はしているけれど、若さゆえの自信が滲みでてしまっている。挫折を経験し、自分自身に足りなかったことに気づく――それが分かるセリフがあるのですが、大事にしました。
ぜひ皆さんに、信次郎の成長を見届けてほしいですね。
時代劇の未来に向かって
――改めて、時代劇の魅力・面白さとは、何でしょうか。
北大路 細やかな息遣い、思いやりが、時代劇のなかには詰まっている。日本人の魂に触れるものですよね。
偉大な先人が作った時代劇が、たくさんあります。僕も舞台や映画館でチャンバラを見て育った。いまは演じる側だけれど、見るのも大好き。
ちょんまげだから古いという感覚が、どこ‟かに残っているんじゃないかと思いますが、ストーリーは現代劇と変わりません。‟いま‟を見てほしいですね。