アメコミから飛び出てきたヒーローか、単なる変態か――奇抜なレオタード衣装を身にまとい、キレ良く腰を前後に振る「もっこりからのリーモコちゃん」というギャグを持つ芸人・ムラムラタムラ。2020年、「アングラ芸人」としてテレビ番組に出演して大暴れし、マヂカルラブリー・野田クリスタルが「お笑い界の救世主なのか」とSNSでつぶやくなど話題を呼んだ。
同期に「さや香」「オズワルド」「真空ジェシカ」といった錚々たる顔ぶれが並ぶ中、近年は「お尻がぶりんぶりんするアニメを作りたい」とアニメ制作に乗り出すなど、我が道を突き進み続けるムラムラタムラ。そんな彼に、ブレイクのきっかけとなった番組『有田ジェネレーション』での思い出やくりぃむしちゅー有田哲平、バイきんぐ小峠英二への思いなどを聞いた。(全2回の1回目/続きを読む)
◆ ◆ ◆
衣装をレオタードにしたら、オーディションに通った
――次世代を担う若手芸人を発掘するTBS系の番組『有田ジェネレーション』に2020年、「アングラ芸人」として登場し、お笑い好きの間で大きな話題を呼びました。どのようなきっかけで、番組のオファーをゲットしたのでしょうか。
ムラムラタムラさん(以下、ムラムラタムラ)当時、同期を中心に芸人たちとルームシェアをしていて、その中の1人が番組のオーディションを受けていたんですよ。そこで、制作の方が自分をご存じかつ、同期とルームシェアしていると知っていたようで「ムラムラタムラにもオーディションを受けてほしい」と言っていただいたんです。
活動を続ける中で、自分を応援してくださるお客さんも増えていたタイミングだったので「もしかしたら、いけるんじゃないか」という思いもあって、オーディションを受けることにしました。それに、有田ジェネレーションは昔から知っていて、ぜひ出たいと思っていたんですよ。大阪時代にお世話になっていた先輩のゲラゲラ星人さんが、上京してから比較的すぐに出演していて、あこがれを持っていました。
ただ、実は初回のオーディションは落ちてしまったんです。出演が決まったのは、2回目のオーディションでした。
――2回目では、ネタをどのようにブラッシュアップされたのでしょうか。
ムラムラタムラ 実はネタ自体はほとんど変わっていません(笑)。変わったことといえば、衣装ですかね。初回のオーディションを受けたころはヨガインストラクターのような上下が分かれた衣装でしたが、その後に現在のレオタードのようなデザインにリニューアルしたんですよ。
それを制作の方が知って「新しい衣装でネタを見せてくれ」と。そこからはトントン拍子で、1カ月後に出演することになりました。
――出演した回の企画は「アングラ芸人2020下克上ネタバトル!」。のちにR-1グランプリ2024で優勝する、街裏ぴんくさんも一緒に出演されました。
ムラムラタムラ ぴんくさんのプレッシャーが、とにかくすごかったのを覚えています。僕らの出番前にスタジオで別の回の収録をしていて、楽屋で一緒に見ていたんですが、笑っていたと思ったら外に出てネタの練習をされていました。そのストイックさには驚きましたし、こんなにネタに情熱を持っている人と戦って、自分は勝てるのかと感じました。
そこであらためて、自分が勝つにはどうすれば良いか考えて思い付いたのが「アングラならではの粗さ」で勝負することです。あらかじめディレクターさんに「絶対に誰も怒らないので、好きにやってくれ」と言われていたのもあり、なりふり構わずやってやろうと。