30歳で子宮頸がんを発症、35歳で子宮体がんになってしまった女優の原千晶さん(50)。今では病状も回復し、釣りに仕事と精力的な彼女だが、術後まもない頃は「ある悩み」に苦しんでいたという。

 原さんだけじゃなく、子宮がんを経験した女性の多くが直面する「術後の性行為の問題」とは? その向き合い方について伺った。(全4回の4回目/最初から読む)

女優の原さん ©石川啓次/文藝春秋

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「性行為をしないと男性に嫌われる」と思っていた

――原さんはがんを患ってから、性生活について悩んだと聞きます。

原千晶(以下、原) 30歳で子宮頸部の円錐切除の手術を受けた時から、術後に性行為ができるかどうか、すごく気にしていました。「性的なリクエストに応じられなくなったら、お付き合いしている男性に嫌われてしまう」と思っていたので、その頃の私にとっては重要なことだったんです。先生に、「子宮の頸部を切り取ってもセックスできるのですか?」と確認したり、すごくピリピリしていました。

 再発後は子宮全摘という大きな出術を受けたことで、性行為に対してさらに恐怖心が強くなりました。

――性的なことについて、パートナーと話し合うのは勇気が要りますね。

 私は昔から「女性は性的な部分では神秘的でなければいけない」と思い込んでいたので、「性行為が怖い」という気持ちを男性に話すことに抵抗があったんです。でも、今の夫と出会って一緒に過ごすうちに、「本当の気持ちを話すことができそうだな」と自然と思えるようになりました。

 思い切って、正直な気持ちを夫に打ち明けたところ、全て受け入れて尊重してくれました。本当に「ミラクルな人と出会ったな」と思います(笑)。私にとって夫は最愛の理解者であり、大親友のような存在ですね。自分に嘘をつかずにいられるようになり、2人でいると心が満たされているなと感じます。