覚せい剤を使わないやヤクザはマジメ

 逆に、教唆で逮捕されるのは真面目な男が多い。覚せい剤も使わないので、冷静沈着であり、親分に忠実なのだ。

「出合い頭のケンカ」は誰にでもできるが、長い月日をかけて相手を狙うというのは緊張感を継続させなればならない。これはとても難しい。

 吉岡が所属していた邦楽会・福原辰広会長は山一抗争でジギリをかけた(みずから体を張って懲役に行くこと)男であり、一代で財を成している。

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 四代目山健組では若頭補佐を務めたあと、健康状態の不安もあって、舎弟に直った。舎弟は「隠居」のようなものなのだ(のちに副組長を経て引退)。

現役ヤクザ時代の竹垣氏(写真:本人提供)

 福原会長の資金力は姫路随一といわれ、カタギにも人気があった。邦楽会が姫路の裏社会を支配しているといっても過言ではなかったのである。

 そして、福原は私の兄弟分だった深山宏光の舎弟でもあった。深山はヘタを打って九州に行き、くすぶって(うだつの上がらない生活を送って)いたのだが、私が姫路に戻れるように手配した。そして、私の舎弟になって義竜会の若頭になることに決まっていた。

 だが、このころに私が懲役に行くことになってしまった。深山は私の8カ月の懲役が待てずに、中野会の風紀委員の吉野和利に頼んで中野会に入ろうとしたのだが、中野会長が深山に山健に戻るように諭したのである。深山は中野会長の言うことを聞いて山健に戻り、深山と私の縁は切れた。1993年ごろのことである。

 深山はなかなか器量のある男で、神戸山口組若頭だった寺岡修と若いころは兄弟分であった。寺岡は筋を通す侠気と実務能力がほかの団体からも評価されていた(現在は引退)。

 深山は寺岡と肩を並べられる、器量のあるやくざだったのだ。

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