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「赤ちゃんはママがいい」発言の根っこにある安倍政権と「親学」の関係

学級崩壊も非行も「伝統的子育て」復活で解決できる!?

2018/06/02

genre : ニュース, 政治

伊藤哲夫 日本会議・政策委員
「個人の尊重や男女の平等だけでは祖先からの命のリレーは途切れ、日本民族は絶滅していく」

毎日新聞 2016年11月3日

 安倍首相が見据えるのは憲法改正だ。安倍首相のブレーンも務める伊藤氏は、改憲テーマとして、家族生活での個の尊厳をうたい、夫婦の平等を保証する憲法24条の改正を取り上げ、「家族の関係を憲法にうたうべきだ」と力説している。安倍首相も「家族は社会の基礎を成す基盤。憲法にどう位置づけるかは議論すべきだ」と国会で答弁していた。

伊藤哲夫氏 ©共同通信社

 自民党の憲法改憲草案の24条の部分には、「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない」と記されている。

 コラムニストの深澤真紀氏は「改正草案では、個人ではなく、家族が尊重されるべきとなっている」と指摘。また、「自民党が24条に目をつけた背景には、男女平等阻止と、ジェンダーフリーバッシングと、夫婦別姓反対という『女の問題』に対する成功体験があったからだと言われる」と解説している(ポリタス 2016年7月7日)。

是枝監督が語った「公権力と家族観の押し付け」

 憲法24条改正への布石と見られているのが「家庭教育支援法」だ。弁護士の打越さく良氏は法案について、「国に役立つ人材を育てよ、と保護者に命じる内容。家族が基礎的集団で国家を支えるという発想が改憲草案に通じる」と批判する(毎日新聞 2016年11月2日)。

 家族に関する映画を撮り続け、『万引き家族』でカンヌ映画祭の最高賞パルムドールを獲得した映画監督の是枝裕和氏はインタビューで、「(伝統的家族観という)その考え方自体、肯定・否定のいずれかに決めつけるつもりはありません。しかし公権力がこういう家族観を目指すべきとするのは実におこがましいことです」と語っている(『文藝別冊 総特集是枝裕和 またここから始まる』)。安倍晋三首相から是枝監督への祝福のメッセージはいまだ発表されていない。

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