2023年、M-1決勝に初出場で惜しくも2位に終わったヤーレンズ。今度こそはと挑んだ舞台で、結果は5位。トレーニング中のロッキーのように、街に出れば「M-1がんばって! 優勝してね!」と声をかけられていたという二人。彼らが2度目のM-1で舐めたものは、苦渋か、それとも。松本人志不在のM-1でヤーレンズが見たものとは。(全3回の1回目/#2#3を読む)

ヤーレンズの楢原真樹(左)と出井隼之介 ©榎本麻美/文藝春秋

激動だった、ヤーレンズのこの1年

――遅ればせながら、M-1お疲れ様でした。1年前のインタビューは本当にたくさんの方に読んでいただけまして、編集部は完全に味を占めてます。ヤーレンズさんさえよろしければ恒例行事にしたいくらいと。

出井隼之介(写真右) こちらこそありがとうございます。

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――……時節柄、吉本所属の芸人さんに出ていただくのも厳しかったり。

楢原真樹(写真左) 文春さんはそうでしょうねー。でも我々も会いにくくなってるんですよ(笑)。吉本のとっっっても上の方が怒っているぞと風の噂で聞きまして、だから外のシマでひっそりとバカやらせてもらってます(笑)。

――おお。奇遇ですね。しかし去年インタビューさせていただいてからの1年間はヤーレンズさんとしても激動だったのではないでしょうか。

 

出井 そうですね。

楢原 劇的でしたね。ビフォーアフター以来の。

出井 なんということでしょう(笑)。

楢原 前回のインタビューは松の件の後でしたよね。

出井 松っちゃんのこと松って呼ぶなよ! それ松居一代さんがブログで使う一人称だから。「松は~」っていう。

楢原 あ、松はアルファベットで書いておいてくださいね。MATSU。

出井 EXILEになっちゃうだろ。

「僕は何も変わってないですね…強いて言えば貯金額は変わりました」

――(笑)。あの時点でも結構いろいろなお仕事のオファーが来てると伺いましたが。

出井 それまでが本当に何もなかったですからね。お笑い芸人やってますとは言いつつ、ライブに出てるだけの芸人だったので。あと僕は結婚もしました。

――そうでした!

出井 「結婚」「引っ越し」、そして「肥大化」という。

楢原 3大売れたらやること全部やった。

――楢原さんはどういう変化が。

楢原 僕は何も変わってないですね。引っ越しもしてないし。出会いも何もない。強いて言えば貯金額は変わりました。

――いやらしくていいですね(笑)。

楢原 口座にとんでもない額のお金が。ありがとうございます。

――でも劇場でネタをやることに最大限の時間をあてていたのは、以前と変わらない。

出井 生意気ながら、去年はただただM-1獲りたいっていう1年だったので。M-1を軸にやってたのでそういう意味では遠慮させていただいたお仕事もあります。例えば長期ロケとかだったらちょっときびしいかなとか。その間漫才できなくなっちゃうので。