松本人志というカリスマがいないM-1

――2023年と2024年の違いといえば、審査員に松本人志さん、山田邦子さんがいらっしゃらないということもあります。その辺りはお二人に影響があったと思いますか。

楢原 出てる芸人にM-1側が気を遣ってくれた感じはしますよね。審査員をより現役寄りにしたっていうのは。

――新しい審査員さんは非常にロジカルでわかりやすい一方、専門性も高くて一般視聴者にはちょっと難しかったところもありました。

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出井 そこは危惧するところですよね。先細っていっちゃうんじゃないか。鋭くなりすぎて、間口が狭くなるという危険性はある。今はまだ現役寄りで言語化に長けつつ、お茶の間で馴染みのある方が並んでますけど、これがもうちょっとマニア寄りになると、終わりの始まりな感じがしますよね(笑)。

 

楢原 緊張感という意味では変わりましたね。

――緊張感ですか。

楢原 やっぱり松本さんがカリスマすぎたので。これは完全に僕の意見ですけど、それまでM-1に出てる芸人たちは松本さんの点数を一番見てたと思うんですよ。今回に関しては松本さんほどのカリスマ性の高い人はいない。

出井 そんな人存在しないもんね、そもそもね。

「その視点はちょっと文春すぎるかもしれない(笑)」

楢原 松本さんは唯一無二なので。言い方が難しいですけど、今は点数がバッて出た時に「あ、なるほど」と納得する気持ちの方が強い。それは審査員の点数で一喜一憂しなくなってるとも言える。たぶん今までのM-1だと、みんな9割9分松本さんを見てたのでは。だから松本さんが抜けた穴を埋めるのが1人だと、その人が松本さんの代役みたいになっちゃうから。審査員を増やして負担を減らしたんじゃないですか。

――それは一方で松本さんという権威からの解放という意味もあったのではないかと。

出井 その視点はちょっと文春すぎるかもしれない(笑)。

楢原 松本さんに面白いと思ってもらいたいと思うあまり、勝手に力んでかかりすぎちゃうところはあるかもしれないけど。今のほうが自然体かもしれない。

出井 やっぱその視点はちょっと文春すぎる(笑)。

 

楢原 (笑)。別に押さえつけられたわけではないけど、勝手にそうなってた。でもやっぱり『夢の入口』だからな、M-1って。

出井 紳助さんが言ってたから。オープニングで「いつまでもM-1が夢の入口でありますように」って、紳助さんの書が突然出てきたから。あれ何だったんだ。

楢原 番組内で特に触れないなら出さないで! 怖いよ!って思いながら(笑)。