「スーパースターではない」そう自嘲するヤーレンズの二人は、2023年M-1でのブレイクを機にさまざまなメディアに進出する。しかし、かつて「売れる」ことの象徴だったテレビは今まさに混乱の真っ只中にある。ヤーレンズはテレビをどのように捉え、どのような付き合いを模索しているのか。お笑いとテレビ、そして逃れられない2025年「M-1」について。(全3回の2回目/#1#3を読む)

ヤーレンズの楢原真樹(左)と出井隼之介 ©榎本麻美/文藝春秋

M-1獲りたいんだったら仕事セーブしても漫才しなきゃいけない

――1年前の取材で「漫才の邪魔になるような仕事はあまりやりたくない」とおっしゃっていたのがすごく印象的でした。でも知名度が上がってそれを貫くのは難しいんじゃないかとも思ったんですよ。

楢原真樹(写真左) 最初浮かれてね、色々やってみたけど。やっぱり合わない。もうちょっと楽しめるようになったら出てもいいんでしょうけど。1回出てみて能力が足りないなと思ったら、もっと頑張らなきゃいけないんですけど、その時間や努力は漫才に向けたかった。なので一旦テレビにアジャストする能力はいいかなと思って、お断りした仕事も結構ありました。

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出井 それこそ年末、山里(亮太)さんのラジオに出させていただいた時に言ってたんですけど。テレビの腕と漫才の腕、両方同時に上げるの無理という話を、かつて(島田)紳助さんがしていたらしくて。

――そうなんですね。

出井 ああ、たしかにそうだよなと思って。だからM-1獲りたいんだったらある程度仕事セーブしても漫才しなきゃいけないし。そこの葛藤はありましたね。単純に、テレビでめちゃくちゃ売れる能力があるわけじゃないので、僕らに。めちゃくちゃ売れるためにはテレビでめちゃくちゃ努力しなきゃいけないと思うんですけど。そこの努力値を漫才に振ってるのかなって感じがしますね。

「ヤーレンズ絡みづらい問題」

――最近あちこちで言われている「ヤーレンズ絡みづらい問題」に関しては、お二人はどうお考えでしょうか。

楢原 絡みづらいんでしょうね(笑)。

――「テレビでは絡みづらいけどラジオだと面白い」とも言われている。

楢原 そこはめちゃくちゃありがたくて。テレビの平場がダメだったらつまらない烙印押されて仕事がなくなってしまうんですが、僕らは2人でしゃべらせたらおもしろいと思って頂けて、じゃあ2人で何かやらせてあげようとお仕事もらえてるのでめちゃくちゃ感謝してます。

 

――団体芸があまり得意ではない?

楢原 そうですね。芸人みんなでワーワーやるのがこいつらあんまりうまくないなってバレたので、だったら二人でロケ行かせようと(笑)。それは経験値としてより漫才に活かせていると思います。

――ラジオ面白いです。全くリスナーにおもねらない姿勢。

楢原 (笑)。媚びるのが下手なんですよ。

出井 好きなこと喋ってるだけという(笑)。いや僕個人としてはテレビで売れたいですよ。やっぱりテレビで売れたいし、活躍したいですけど。そのためには結構経験値も努力も必要なので、まだまだここからだなって。相方はあんまりテレビっていう意識はないみたいですけど。その辺の折り合いですよね。