2024年1月、初めてヤーレンズを取材したときに出井隼之介が(おそらく)何気なく発した「芸人界は男社会ですから」という言葉。明白な事実でありながら、男性芸人からその言葉を聞くのはほぼ初めてといってよかった。「今何が笑えて何が笑えないのか」を常につきつけられる繊細な感覚の商売でありながら、体質はなかなか旧態依然を抜けきれない。そんな芸人社会の中で、元吉本所属のヤーレンズが語る、松本人志問題について。(全3回の3回目/#1#2を読む)

ヤーレンズの楢原真樹(左)と出井隼之介 ©榎本麻美/文藝春秋

沖縄から9都市、初の全国ツアーへ

――1年前のインタビューで、サンドウィッチマンさんや東京03さんのように全国ツアーをやりながらテレビにも出られるというのが理想だとお話しされていましたが、ついに全国ツアーヤーレンズ第1回単独ライブツアー2025「熱い胸さわぎ」が決定したのですね。

出井隼之介(写真右) そうですね。それだったら最高ですね。ありがたいことに沖縄から9都市行く予定です。

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楢原真樹(写真左) それこそ去年はM-1頑張りたいからって、僕が全国ツアーちょっと待ってくれって言ってたんですよ(笑)。

――そうだったんですね。

楢原 ツアーは初めてだったので、やるならちゃんとやりたい。M-1用のツアーじゃなくて、単独ライブじゃなくて、もっといろいろ遊びがあるような。勝負ネタいっぱいかけますよとかじゃないもの、長いネタもあってもいいしみたいな。それがやりたかったので「来年チャンピオンになってからやりましょう!」って言ったら、チャンピオンになれなかったんですけど(笑)。

このぐらい肩の力抜いてる方がM-1でいい結果出るかも

――でも悲願ですね。

楢原 このぐらい肩の力抜いてる方がM-1でいい結果出るかもしれない。その結果2回戦敗退っていう可能性もありますけど(笑)。

出井 M-1用のネタも全然やっていいし、自由ですかね、全国ツアーって。最近思うんですけど、M-1目指すこと自体がエンタメだから。M-1目指してる俺たち自体がエンタメなんだなって。M-1に出られるのに出ないって決めたやつの漫才と、そうじゃない、M-1に出るって決めてるやつの漫才ってどうしても見え方変わってくると思うので。どっちが人を引きつけるかっていう話ですよね。

 

楢原 「これを勝負ネタにするのか」みたいな目で見られても嫌なんだよね(笑)。

出井 あれは嫌だ。あれは嫌だけどね(笑)。

楢原 でもそうなるんだよなぁ。4本目のやつ怪しいなみたいな。変にまとまってたなとか。そんなの考えずに笑ってほしいんですよ、こっちは!

――やっぱり、『夢の入口』ですからね……。

出井 夢の入口ですからね。素敵やーん。最高に素敵やーんですよ。