お笑い界全体の問題点が出たのに…

――エンターテイメントって賛否両論なので。やっぱ楢原さんエンターテナーですね(笑)。

楢原 でも名人は褒めてくれたんですよ。

出井 ゆにばーすの川瀬名人ね(笑)。

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楢原 名人が「お客さんがみんな気になったことを最後にいじってくれたからよかった」って。なんも言わないの気持ち悪いですよね。

――しかも楢原さんは決勝の会見の時からちゃんと種まいてたから(笑)。

楢原 まああれはたしかに言わなくてよかったですよね。あの会見ではあまりにもスベりすぎて動揺しちゃった(笑)。

 

――そういう空気を見ると、やっぱり変わらないのかなとはちょっと思いました。

楢原 触らぬ神にじゃないですけどね。

出井 なんかそこをふれないでおこう、ふれないでおこうって。お笑い界全体の問題点が出たのに、変えようっていう動きをする人はいないんだっていうね。せっかく上下関係厳しいんだからそういうとこで発揮してくれよと。

――たしかにそうですよね。

出井 今こそ上下関係を発動させて。上の人からいろいろ動いてくれたらいいんだけど。そういうのはないんですね。それは「へー」って感じ(笑)。

「一回ちょっと考えるタイミングにすりゃいいと思うんですけど」

――言わないということは、どこかで既存の価値観を肯定してるようにも見えてしまう。

出井 まさに。松本さんが復帰できるできないとか、いいとか悪いとかじゃなくて。僕含め全芸人が自分の中に、無自覚に女性蔑視的なものが入ってるかもしれないとか、一回ちょっと考えるタイミングにすりゃいいと思うんですけど。でもそういうことをしていこうぜ、芸人界よくしていこうぜ、みたいな動きは上の人からはないんだっていうのはよくわかりました(笑)。

――「今こういうことを言ったらダメなんですよね?」とか「こういうこと言うと女性に怒られちゃうかもしれないんですけど」とか言われるたびに、いやダメとか怒られるとかじゃなくて……という気持ちになります。

 

出井 (笑)。それそれ。そればっかり。たしかにわかるんですけどね。それで口つぐんでくれりゃまずはいいんですけど。本当は悪いと思ってなくても、まあ時代だしなって黙ってくれればそれはそれでいい。わざわざ古いパソコンをアップデートしてもしょうがないですし。だったら電源切っといてくれっていうことだと思いますね。

――まさに過渡期ですね。お笑い界もこの社会も。いろいろなジャンルで同時多発的に同じ問題が起きている。

出井 今めっちゃ過渡期。それはすごく感じます。