先輩に呼ばれても余裕で断ってくる今の若者

楢原 M-1決勝行くまでしんどかったって言いましたけど、それも好き好んでやってるしんどいなので。なんならその過程にあるお仕事でお金もらってるので。もうこっちからしたら申し訳ないわけです。

――よく社会や組織に適応できなかったから芸人やってるんだみたいなお話を聞くたびに、芸人さん同士の上下関係とかの方が、私が生きてる日常よりずっときついよなと思います。常にチームプレーを求められますし。

出井 そう、チームプレーですしね。そのへんはもう身に染みちゃってるんだろうな。

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楢原 でもそこももう変わりつつあるからいいよね。先輩に呼ばれても余裕で断ってくるので、今の若者は。

 

――ケイダッシュステージさんはそうですか。

楢原 ケイダッシュステージっていうか、たぶん吉本の若手もそうですよ。「すいません、今日行けないっす」ぐらいの。もうその感じになってきてるので。

――会社もそうですよね。編集長が「ちょっと飲みに行こうか」って誘っても「あ、ごめんなさい。今日行けません」って軽く断られる。

出井 編集長……(笑)。

――大きな会場に一人ぽつん。星飛雄馬のクリスマス会。

楢原 (笑)。よく見るやつね。いやなんかね、それはそれでいいんじゃないですか。

出井 おもしろいしね(笑)。

――変化は少しずつ起きてる。今はその過渡期なのかもしれない。

松本報道が出た時に「諸先輩方はどう思ってるんだろう?ってのは思いました」

出井 松本さんのああいう報道が出た時に、なんですかね……お笑い界が変わらなきゃいけない時という感じがしたけどなっていう。諸先輩方はどう思ってるんだろう?ってのは思いました。

 実際何があったかとか、善悪のことはさておき、お笑い界がゴリゴリのホモソーシャルで、その良くない面が表面化したの確かですよね? じゃあ、もう少しこうしていきません?っていう話は誰もしない。ここからのお笑い界の話は誰もしないで「いや戻ってきてほしいですね」「でもまだコメントできないです」とかばっかりで。

 

――お二人のインタビューぐらいだと思います。触れることがタブーみたいになっている。M-1決勝で楢原さんが「じゃあ松本さん」って言った時の「名前出しちゃった!」みたいな空気はちょっと怖かったです。

楢原 あれも変なんですよね。俺も別に「松本さんいないの悲しい」とも「松本さんいなくて当然でしょう」とも言ってない。ただいなくなった人の名前を言っただけで、ネットでは賛否両論。

――賛否両論なんですね(笑)。

楢原 いまだに「ヤーレンズ 松本」でサジェストされるらしいです(笑)。松本さんファンからしたら松本さんを風化させちゃならないということで「言ってくれてありがとう」と言う方々もいますし。「松本さんがいなくなったのにわざわざ名前出すなんてやばいなこいつら」って言う方々もいますし。その両方がくる。いや俺どっちの思想でもないから。お笑いにしたいから言っただけなのに。