2024年のM-1はいい大会、でも「一番悔しかったかもしれない」

――初めて出て準優勝だった2023年のM-1と、5位となった2024年のM-1、お二人の中でどう違って見えましたか。

楢原 決勝だけで言うと、2024年のM-1の方が大会として盛り上がったのでよかったなと思います。全然カッコつけてるわけではなく、これは(令和ロマン)くるまも言ってましたけど、やっぱりM-1という大会自体が盛り上がることが大事。だからくるまの中でも結構そこ悔しかったと思うんですよ、2023って。

――初優勝したのに。

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楢原 初出場でしかも若くて、トップバッター優勝ってすごいはずなのに。大会自体がなんかあんまり盛り上がってないから、ああそうか……みたいな。これに関しては出ている芸人と、見てる方との温度差があるのかもわからない。だから2024年に関しては、令和ロマンの連覇もあるし、みんなのパフォーマンスもお客さんの温度感も演出も良かったので、すごくいい大会だなと感じました。ただヤーレンズとしてはめっちゃ悔しいですね。一番悔しかったかもしれない、あのメンバーの中で。

 

型にハメつつ、オリジナルで…「M-1の漫才ってやっぱり特別なんですよ」

――一番悔しい。

楢原 2023はヤーレンズとしては得したけど、芸人としてはそんなに得してないんじゃないか、実は……っていう。一番盛り上がったのが結果発表でひっくり返ったとこだったので。やっぱりそこはネタじゃないとダメじゃないですか。

 笑い飯さんが1回目に「鳥人」やって(島田)紳助さんが100点つけて、2回目の「チンポジ」で優勝逃して、なんてネタやってんねん!ってのがハイライトだしみんな覚えてる。そういうネタのハイライトが、2023はほとんどなかったなって。さや香の「見せ算」が変な跳ねかたをしたりね。

出井 良くも悪くもあれが一番目立ってる感じはしたよね。

楢原 ダンビラ(ムーチョ)の大原が、それはもうひどいことしたり(笑)。

出井 ひどいことじゃない(笑)。巨人の岡本(和真)選手にサインもらいに行っただけでしょ(笑)。

楢原 今田(耕司)さんが、あの今田さんがあんなあたふたするなんて!

出井 確かに2024は理想的な大会だったと思うんですけど、俺らがその中にいる気は全然してなくて。あとやっぱり決勝行くまでが、2023よりも全然きつかった。プレッシャーももちろんありますし、ネタを作ってもうまくいかない。ネタに取り組める時間が減ったというのもある。

 そういう中でM-1に向けたネタ……M-1の漫才ってやっぱり特別なんですよ。「こういうのがM-1の漫才だよね」っていうのが見てる人にもイメージがある中で、なおかつ自分たち独自のものを作らなきゃいけない。それを作るのが去年はめちゃくちゃしんどかったですね。

 

――自分たちを型にハメつつ、オリジナルでなければならない。

出井 まあ訳わかんないですよね、ほんとに(笑)。拍手笑いの数とかカウントしながら見るようなものになって、競技化が来るところまで来てると思うので。でもやる以上は結果出さなきゃ意味ないよってところはあるので、難しい。