コロナ禍のお盆、不満を溜めている主婦が多かったのでは

 特に共感を寄せているのは、やはり女性読者だ。

「WEB連載は20~70代と幅広い年齢層の女性たちから継続的にアクセスしていただいていました。コロナ禍の最中のお盆ということもあり、在宅で不満を溜めている主婦の方が多かったのではと推察します」(同上)

 料理に文句をつけ、ボロ家電を持ち込み……義母の振る舞いは「マイペース」の域を越えている。もっとも安心できるはずの自宅で苦しむさとこに共感が集まるのは、同じように理不尽に耐えるしかない経験をした人が多いからかもしれない。

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『義母との戦いで得たもの』より

「ストーリーのテーマは嫁と義母の諍いを描いたいわゆる『嫁姑問題』ですが、対人関係に通底する文化の違いで理解しあえないという難問を、夫や妹など家族の目線も含めてディティール細かく描かれ、あらゆる立場の読者が共感できる作品に仕上がっています」(同上)

 その言葉通り、本書には夫側・義母側の立場を描いたストーリーも収録されており、共感した男性からの反響も届いているという。

「本書の見どころは、人間まおさんの素朴な絵柄です。最低限のシンプルな線で喜怒哀楽が表現されていて、初めて拝見したときに素晴らしい画力だと感じました。変なアクや嫌味がなくて、読者の日常にすっと溶け込む不思議な魅力がある画です。

『義母との戦いで得たもの』より

 さとこのように、無難に人に合わせて生きてきたせいで言いたいことをうまく伝えられないという悩みは、実は自分にもあります。そういう人にとってはリアルすぎてつらい漫画かもしれません(笑)。同じ気持ちを抱えている方には、ぜひラストまで読んでいただきたいです」(同上)