「セックスしたらマンガが描けるようになった」
――19歳で初体験の後、安彦さんは“等身大の女子とセックス”を描くマンガ家として活躍されますが、ご自身の性欲はどうだったのですか。
安彦 性欲のピークは20~30代だったと思います。あれだけこじらせてたのに、一度セックスしたらするのが楽しくなったし、マンガも描けるようになったんですよ。
――セックスしたらマンガが描ける?
安彦 はい。当時の私は、絵を描くのは好きだけど、話をつくれなくて。19歳でマンガ家デビューしたときは、まだ処女だったんです。でもセックスしたら「あ、男と女ってこういうことかも」と、恋愛のエピソードをつくれるようになりました。
――安彦さんの作品では、女性の性欲も赤裸々に描いていますよね。「主人公のOLが、職場の男の同僚のことを考えて自慰する」という話もありました。
安彦 友達の彼氏が私のマンガを読んで、「女の人にも性欲ってあるの?」と言ってたらしくて。私としては逆に「男の人って、女に性欲はないと思ってるの?」と、意外な気持ちでした。
――では、20代の安彦さんは実生活でも奔放な恋愛を?
「貞操観念ゼロ」だった20代
安彦 奔放かはわからないけど、セックスはチャンスがあったらする。断るという選択肢は私の中になかったです。
当時の私は、男性との関係を「そういう雰囲気」にもっていくのが楽しかったんですよね。目の前の男をいかにムラムラさせるかというのが、面白いゲームみたいで。
――お相手とはどこで出会うんですか?
安彦 酒の場です。私、お酒の席で男の人と2人になったときに、唇を奪うのが大好きだったんですよ。
――自分からいきなりキスを?
安彦 そう。飲んでて、ふとしたときに男性の唇を奪うとしますよね。そうすると男性はだいたい、ビックリするのと同時にちょっとうれしそうなんですよ。私はそれを見るのが楽しくて。
――相手に火をつけてやった、と?
安彦 そんな感じ。相手は「オレ、もしかして男扱いされた?」とスイッチが入るみたいで、私も内心「やった!」と。相手の態度が少しずつ変わるのを観察して、面白いなと思ってました。
ずっと「自分はモテない、周りの女子から置いてけぼり……」と思ってたのが、セックスをしたら「私も男を動かせるんだ!」と楽しくなっちゃったんでしょうね。