――目標にしていた俳優の方は。
橋爪 いなかったんです。
――お父さんではない。
橋爪 あれはもう。親をあれって言っちゃいけないですけど(笑)。「父親みたいになりたいってのは違うよな」っていうのはありましたね。父親みたいにはなれないし、なる必要もないですから。
「父親がすべて断ってくれてた」“親子共演”をしなかったワケ
――高校生のときに、映画『恋は五・七・五!』(2005年)で俳優デビューする。
橋爪 高3で、映画に2、3本出させていただいてました。それまでピアノとかの習い事もイヤだったし、学校も楽しいとは思えなかったんですけど、映画に出てものすごい充実感を覚えたんですよね。
一番最初に出た『恋は五・七・五!』の演技が自分のなかでまったく納得できなくて、悔しくて悔しくて。生まれて初めて、自分に対する競争心とかもっとやりたいって気持ちが湧き上がったんですよ。1本目の映画を見て、そこで俳優を辞めるんじゃなくて、もっと演技を突き詰めようって。
――そこでお父さんに演技のアドバイスを仰いだりは。
橋爪 しなかったんですよね。意地もあったのかな。父親のほうも、あえて近づかないというか。テレビのバラエティや映画で「親子2人で出ませんか」ってオファーが来ても、父親はすべて断ってくれてたんですよ。それもあって「橋爪功の息子」ってのがなくて助かってたけど、だからこそ自分でやらなきゃいけないなって強く思いましたね。
おかげで、わりと順調ではあったんですよね、20代前半ぐらいは。コンスタントに学園ドラマに出させていただいたし、映画もやったりとかで。映画でやらせていただいた役も、メインのキャラクターだったし。
順調だったのに、その頃の友だちに合法ドラッグを勧められて、手を出してしまうんです。
撮影=山元茂樹/文藝春秋
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