「太っている私が悪いのかな」子ども時代に抱えていた複雑な思い
――かなり辛い状況だったと思います。そんな中でも、学校に通い続けられた理由はなんだったのでしょうか。
あやの 私がとにかく負けず嫌いだったのと(笑)、家族の存在ですね。特に私の母はすごくポジティブな人で、私が「太ってるから、いじめられるのはしょうがないんかな」と落ち込んでいるときは、「私が産んだ子やねんから、あやのはかわいい」と言い続けてくれました。母のおかげで、どんなにひどいことを言われても芯まで折れることはありませんでした。
――辛い環境の中でも耐えられたのは、家族の支えがあったからなのですね。
あやの はい。ただ、母の励ましがあっても、心の奥底には複雑が気持ちがありました。「人の体型について失礼なことを言う方がおかしい!」と思う気持ちと、「太っている私が悪いのかな」と思う気持ち。その両方を抱えながら過ごしていました。
そんなモヤモヤしている自分が嫌で、中学校に上がるタイミングで変わろう、と思ったんです。それまではネガティブなことを言われたら黙っちゃうタイプだったのですが、“いじられキャラ”になったら周りの反応も違ってくるかなって。
“いじられキャラ”になっていじめはなくなったけれど…
――なぜ、自ら“いじられキャラ”になろうと決意したのでしょうか。
あやの 私がどんな人間であろうが、太っていることをからかう人はゼロになることはない、と思ったんです。だったら、私は明るく生きていきたいな、と。何を言われても笑いに変えられる、ポジティブな人柄に憧れていたんです。
――その方法で、いじめはなくなったのでしょうか?
あやの 友達はたくさんできました。ただ、いじめられなくはなったけど、別の悩みが出てきて……。陰でこそこそ悪口を言われたり嫌がらせをされたりしていたのが、面と向かってからかわれるようになったんです。
当たり前ですが、陰口でも直接でも「デブ」と言われると傷つきます。でも、“いじられキャラ”の私は、何を言われても笑いに変えなきゃいけない。傷ついてる素振りなんて見せたら場をしらけさせてしまう。そんな縛りを自分に課していました。
ちょっとずつ傷つきながら生き方を試行錯誤してきた今は、受け流す術も身につけられました。でも当時はうまく割り切れずに、笑顔の裏側で「しんどいなぁ」って思っていましたね。