多くのスマートフォンで購入時に充電器が同梱されなくなったことで、利用者はUSB充電器を別途調達しなくてはいけなくなりました。こうしたことからいまUSB充電器の市場は、さまざまなメーカーが激しい競争を繰り広げる戦国時代となっています。

 なかでも売れ筋なのが、最新のiPhoneやPixelなどをフルスピードで充電でき、なおかつサイズも小さい「最大出力30W」のUSB充電器です。今回はこの最大出力30WのUSB充電器について、入手性の高い6製品をピックアップし、充電速度や発熱、使い勝手、さらに価格など、いま買うならばどの製品がふさわしいかを徹底比較してみました。

今回はiPhoneの急速充電に適した最大出力30WのUSB PD充電器6製品を比較します

20~30%まで回復した時点で出力がじわじわ下がりはじめ…

 今回ピックアップした製品は、いずれもiPhoneやPixelを急速充電できる「USB PD」規格に対応し、また最大出力は30Wということで、スペックだけ見るとほぼ横並びです。さらにボディサイズ、重量もほぼ同じで、プラグを折りたためる構造も全モデルが備えています。

ADVERTISEMENT

 具体的なメーカー名と型番は以下の通りです(本稿ではこれ以降、各製品をメーカー名もしくはブランド名で呼称します)。

今回比較する6製品。左から、ナカバヤシ「Digio2 JYU-ACU05W」、NIMASO「NCH24G1378」、エレコム「EC-AC10230BK」、Anker「ANKER 511 Charger (Nano 3,30W)」、PGA「PG-PD30AD01BK」、CIO「CIO Mate Charger002 30W」
どの製品も、急速充電規格の「USB PD」に対応し、さらに最大出力は30Wということで、基本的なスペックは横並びです。ちなみにPPS対応とそうでない製品がありますが、後述する実験ではあまり違いは見られませんでした

 では実際の性能を見ていきましょう。まずは充電速度。一般的にUSB PDでの急速充電では、遅いスピードで充電が始まり、充電器側の出力にまだまだ余裕があるとスマホ側が判断すると、さらに大きな出力を要求し、スピードが上がっていく仕組みになっています。

 今回試したiPhone 16 Pro Maxの場合、まず12W前後という中程度の出力で充電が始まり、数十秒かけて、最大値である27W前後まで出力が上がっていきます。もっとも満充電までこの最大値が続くのではなく、バッテリーが空の状態から始めて20~30%まで回復した時点で出力がじわじわ下がり始め、60%を超える頃には出力は半分程度まで下がってしまいます。