都内オートロック付きマンションに住み、専業主婦になりたい
3000万円超えという年収は魅力的でしたが、Iさんは60歳の男性との結婚は考えられないと思っていたようでした。40代男性に心が傾きかけている様子だったので、「この後もずっと栄養士さんとして保育園で働き続けられますか?」と聞いてみました。すると「できたら働きたくない。専業主婦になりたいです」という返事が返ってきたのです。
彼女のように「頑張って働いてきたのだから、結婚したら少しはラクしたい。たまにパートで働くくらいで十分」と考える人は少なくありません。ただ、夫が年収450万円だと、妻がパートで働く程度では家計はラクとは言えません。彼女が働き続けても350万円+450万円で家計年収は800万円。さらに「結婚後、どこに住みたいの?」と聞いてみると、「都内でオートロック付きのマンションがいい。広さは70平米以上で間取りは2LDK」とかなり具体的なビジョンを持っていました。
そこで私が、「その条件だと家賃は20~25万円はかかる。あなたが働き続けても家計年収は800万円。家賃は手取り年収の3分の1が上限だから、住居費に年間300万円も払うゆとりはないと思うよ」と指摘しました。「では、栄養士の資格を生かして週3回、パン屋さんで3時間くらいパートに出ます」と彼女。しかし、時給1100円で3時間×週3回働いても、月収4万円にしかなりません。
Iさんの結婚後の理想の暮らしを実現するためにも、私は60歳医師を強くすすめました。彼女も、自分の希望を具体的に積み上げてみると、「専業主婦で都内のマンション暮らし」という夢を叶えるには、そちらのほうが現実的な選択だと気づいたようでした。
最終的に、30代女性よりもIさんが選ばれたワケ
60歳医師は年収3000万円超えなので、30代女性からのアプローチもありました。それでも最終的にIさんを選んだ背景には、こんなエピソードがあったのです。
仮交際中の4回目のデートで、2人は東京・高尾山に行く計画を立てました。
ところが、彼が待ち合わせ場所で財布を忘れたことに気づき、自宅まで取りに戻る間、駅近のカフェで待っていてほしいと言われました。
そこで彼女が「カフェで待つのもつまらないから、私もついて行きます」と自宅を訪ねてみると、彼が新しく建てた病院に隣接する住まいに引っ越して半年経つのに、室内にはダンボール箱が積み上がっていたそう。忙しくて片付ける暇がなかったのでしょう。
無事に財布を確保し、その日は高尾山デートを楽しみましたが、担当カウンセラーを介して「ダンボールが積み上がっていたそうです」という報告があったので、これは千載一遇のチャンスだと私は直感。「次のお休み、軍手とエプロンを持って彼の自宅に飛んで行って、片付けを手伝って差し上げたら?」とアドバイスしました。