「理想の相手と結婚したい」。年間2000件以上の相談を受ける婚活アドバイザー・植草美幸さん。悩める男女に辛口アドバイスを送る姿を映した「ザ・ノンフィクション」は大きな話題を呼びました。
ここでは、『ワガママな女におなりなさい』(講談社)から一部を抜粋。結婚相談所の平均成婚率が15%といわれる中、年間成婚率80%という異例の成果を上げ続けるカリスマが語る婚活の現実とは――。(全3回の2回目/前回を読む、続きを読む)
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ある年の瀬、仕事納めの日にスタッフ総出でオフィスの大掃除をしていると、「書類は揃えてありますから、これから至急入会させてください!」と電話がかかってきました。
電話の主は、35歳で薬剤師のY子さん。年明けに、親がセッティングした相手とのお見合いがあるので、その前にお見合いのマナーを教えてほしいというのです。相談所には、結婚相手を探すだけではなく、このような依頼も寄せられます。
あまりに急すぎるので、本来ならお断りする案件ですが、年明け1月2日にお見合いが決まっているというので、特例で緊急入会をしてもらいました。すぐに、お見合いの席にどんな洋服で行くべきか、どんな会話をするのか、何を確認したらいいのかを一通りレクチャーしました。
相手には、本人たちの意向を無視する毒親が
彼女は東京で働いていますが、出身地は岡山。両親も岡山で健在です。
父親がセッティングしたお見合いの相手は、岡山で老人ホームを経営している男性の長男。37歳です。ゆくゆくは2代目社長になる予定だとか。両親としては、1人娘のY子さんに地元へ戻って結婚してほしかったのでしょう。
事前にY子さんからお見合い相手の「釣書(身上書。学歴や勤務先、家族構成などを書いたもの)」を見せてもらった私は、彼女には伝えませんでしたが、「これは難しいかもしれない」と内心思っていました。
彼は老人ホームの事務長。父親は経営者であると同時に、そのホームと契約する病院の医師も務めており、母親も姉もホームで働いていました。そこへ嫁入りするのは、アウェーな場所に単身乗り込むようなもの。薬剤師として働けたとしても、ヘタをすると無料の家政婦扱いされる恐れもあります。
Y子さんはお見合いをクリアし、1月から交際をスタートさせましたが、2月には破談に追い込まれました。相手には気に入られたのに、男性側の母親と姉が強く反対したそうです。真相は藪の中ですが、おそらく可愛い息子、弟を取られたくないという気持ちが働いたのでしょう。本人たちの意向を無視するのは、毒親の特徴です。
毒親がしゃしゃり出てくると、2~3割は破談に追い込まれます。親と子どもでは価値観にジェネレーション・ギャップが大きすぎるので、話がこじれやすいのです。古い価値観が抜けない親には、いまだに「結婚するなら銀行員か商社マンがいい」と信じている人もいるくらいです(商社マンはまだしも、フィンテックなどで競争が激しくなっている銀行業界は昭和までのように安定した業界ではありません)。婚活を成功へ導きたいなら、親が口を挟まないような環境作りが大切。干渉が心配なら、「お父さん、お母さんに迷惑はかけないから、私の婚活に口出ししないで」と事前に釘を刺しておきましょう。