岡山の実家で父親がした「想定外の返事」

 結婚願望が強かったY子さんは、仕切り直して今度は自分で相手を探そうと考えて、マリーミーで活動を始めました。数人と仮交際をした結果、そのうちの1人だった東京在住の38歳のプログラマーの男性と真剣交際に入りました。

 真剣交際に至ると、お互いの実家に相手を紹介します。Y子さんが1回目のデートで男性の千葉の実家を訪ねた後、2回目のデートではいよいよ彼女の実家へ。2人で仲良く新幹線に乗り、岡山の実家まで出かけました。

 そこで「娘さんと結婚させてください」と男性が挨拶したところ、彼女の父親から「考えさせてください」という想定外の返事が返ってきました。こちらも毒親だったのです。

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 まさかの展開に2人は呆然。往路の明るい雰囲気は暗転、お通夜のような暗い雰囲気でトボトボと東京へ戻ってきました。

 Y子さんから報告を受けた私は、「ここまで来て親が『考えさせてくれ』はないよ。あなたもなぜ黙って帰ってきたの? 彼が好きで結婚したいんでしょ。親が保留にしたくらいで、結婚を諦めるつもりじゃないよね?」とやや強めに諫めました。

 Y子さんの父親のように、意中の相手を連れていくと拒絶反応を示すケースもあります。本人同士は何度も会って交流を深めていますが、親は初めて相手に会うのですから、戸惑ったり、面食らったりするのも理解できます。おそらく父親は、地元岡山の男性と結婚をさせたかったのでしょうが、娘が見初めた相手を連れて帰ったのに、「考えさせてください」という返事は完全に非常識。大切なのは当事者たちの意向であり、親が一体何を「考える」というのでしょう。

婚活アドバイザーの植草美幸さん

「ちゃぶ台をひっくり返して啖呵を切るくらいの勢い」が必要

 このままでは成婚間近に親がしゃしゃり出て破談する最悪のパターンになりかねない。そう危惧した私は、Y子さんに「来週、もう一度岡山に行って!」と助言しました。そして「今度は1人で乗り込み、『私の結婚を邪魔しないで!』とちゃぶ台をひっくり返して啖呵を切るくらいの勢いじゃないとね!」とけしかけました。一か八かに賭けたのです。

 ウソのような話ですが、Y子さんの実家の居間には本当にちゃぶ台があり、彼女は私が言った通り、ちゃぶ台をひっくり返しました。そしてこう言ったそうです。「私、今何歳だと思っているの!」。これ以上親に横やりを入れられたら、婚期を逃してしまうという心からの叫びだったのでしょう。この“ちゃぶ台返し”が決定打となり、岡山の両親も東京での結婚を受け入れて、2人は結婚できました。