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部長「設計書は作るようにしてるんで、その設計書が、作ってるけど契約に結びついてないというのは、訪問先の内容が、きちんとこっちも把握できてない、アドバイスできてないところは、契約に結びつけてないかなと」
幹部「それを精査して調べてきちっとやるのが部長の仕事ちゃいます?」
部長「はい」
幹部「もうちょっと、部長として腹くくってください」
生き残るのは部下を追い詰める社員
近畿支社の幹部らは、実績が低迷している他の局の金融渉外部長たちに対しても、アポイントの取得件数や訪問件数などの細かなデータを示しながら、前月までの反省点や今後の挽回策を問いただしていった。
部長たちが、しどろもどろになりながら、「今月は必ずやります」と述べると、「いくらきれいごと言うたかて、最終的な数字が挙がらんかったら一緒ですよ」「有言実行でお願いします」と結果を求めた。そして、この日は発言の機会がなかった低迷局の部長らに対し「あなたたちが近畿の足を引っ張ってるということを自覚してください」と言い放った。
この会議が開かれたのは、(保険の不正営業について特集した)NHKの番組が放送されてから約2カ月しかたっていない時期だ。だが、約1時間にわたる会議の中では、適切な営業を指導する発言は一切なく、終始、数字だけを求める指導が行われていた。
ある渉外社員は「優しい部長は、目標未達の責任を自分でかぶり、次々に左遷されていった。その一方で、パワハラ系の部長たちは、下を追い詰めて数字をたたき出し、出世していったんです」と話す。
不正な営業をしていても上司は見て見ぬふり
高い実績を挙げている部下が不正な営業をしていても、上司は見て見ぬふりをしているという証言も相次いだ。北陸地方の渉外社員は「なじみのお客さんが不利益な契約をさせられそうになっていたので、契約しないように助言したところ、そのことを伝え聞いた幹部から『営業妨害をするな。今度こんなことをしたら処分するぞ』と恫喝された」と話している。