墓参という“形”よりも、情報開示という“内容”がほしい
ダメ押しを忘れなかった。雅子さんは「よかった、直接お礼を言えて」と感極まり、辻元議員に付き添われてその場から離れた。国会内での記者会見では俊夫さんの遺影を掲げながら、
「見ていただいたように石破さんと1メートルぐらいの距離で思いを伝えることができました。石破さんは夫のためにできる限り開示を進めてくださると思います。夫のためだけじゃなくて、えん罪のことでも自死遺族の方々のことでも、みなさん情報を開示していただいて、夫のようにつらい思いをする人が一人でも減るようになったらいいなと思います」
石破首相が墓参りの意向を示したことについて記者が尋ねると、
「総理大臣のようにお忙しい方に無理をして来ていただこうとは思いません。大事な仕事があるでしょうし、あの言葉をきょう夫が聞いていたと思うので、それだけでも本当に十分です」
墓参という“形”よりも、情報開示という“内容”がほしい。開示請求への決定は原則30日以内とされている。石破首相はいつ決断するのか? 先延ばしは許されない。雅子さんは裁判開始から3年以上、夫が亡くなってから7年も待たされているのだから。
(あいざわふゆき/1962年生まれ。東大法学部卒、87年NHK入局。2018年、森友事件で記者職を解かれNHKを退職。著書に『メディアの闇』(文春文庫)、赤木雅子さんとの共著『私は真実が知りたい 夫が遺書で告発「森友」改ざんはなぜ?』(文藝春秋)など。)
