力加減がわからない例は、私(松本)が運営する、児童発達支援・放課後等デイサービスの運動教室「LUMO」でもよくあります。教室で上手にできたとき、指導員と子どもがハイタッチすることがありますが、力加減がわからない子とのハイタッチは「バチーン!」と当たって手が痛いのです(笑)。
テンションが上がって強くなってしまうのではなく、いつもいつもハイタッチが強い子がいます。そういうときは、「ちょっと痛いから、このくらいでしてほしいな」と、実際にやってみせながら教えています。大切なのは、大人であっても、痛いときは「痛かった」と伝えることです。
気持ちが表現できず、手が出てしまう
「子どもだから仕方ない」とやさしさから注意しない人もいるかもしれませんが、こういうことをされたら大人でも痛いんだとか、悲しい気持ちになったとか、痛みや感情はその都度、伝えてあげましょう。どう感じたかを伝え合うコミュニケーションが大切なのです。うまくできたら、「いいね!」とポジティブな言葉で返します。
口元の探索(たんさく)反射(編集部注:赤ちゃんの口元を指でやさしくつつくと、おっぱいをさがすような動きをする反射)が残っていると言葉の表現が上手にできないこともあります。自分への注意の向け方がわからず、「自分を見てほしい」「一緒に遊びたい」などの気持ちを言葉で表現できず、手が出てしまうこともあります。スケジュールの変更や勝ち負けなど、環境の変化に過敏に反応した結果、言葉が出ないためにイライラして癇癪(かんしゃく)を起こしてしまうことも。
Cくんは幼稚園のすべり台で遊んでいるとき、友だちがすべろうとしていると思い、いきなり後ろから押してしまいました。またあるときは、友だちがブランコに座った瞬間に「押して」と言われていないのに「押さなくちゃ」と後ろから押してしまいました。友だちがびっくりして泣いていても、顔が見えないために楽しんでいるのかな、と思ってやり続けてしまったそうです。先生があわててやってきて、「どうしたの?」と聞かれると、今度はCくんがびっくりして、モロー反射が出て固まってしまい……。