旅館で暮らす猫が宿泊客の危機を救った。そんな投稿がSNSで話題となっている。
大分・別府市にある「新玉旅館」は、猫を保護する活動をしており、約80匹の保護猫たちが暮らすことから、“にゃんたま旅館”とも呼ばれている。
主役はその1匹、三毛猫のミケ子ちゃん(メス・推定19歳)だ。
何かを訴えるように鳴いていた
新玉旅館の女将・後藤藤恵(ごとう・ふじえ)さんに当時の状況を聞くと、“救出劇”があったのは、2025年1月5日の午後11時ごろ。
旅館には猫たちがくつろげるスペースとして、専用の“猫部屋”がいくつかある。ミケ子ちゃんは2階で暮らし、後藤さんはそれぞれの猫部屋を見てまわっていた。
ミケ子ちゃんは普段、後藤さんにはあまり近寄らないのだが、この時だけは猫部屋に入った途端、のどから絞り出すような声で「ニャーニャー」と鳴いて、アピールしてきたのだ。
「どこか具合が悪いのか」と心配した後藤さんが、触ったり抱きかかえたりしたときは黙っていたが、何度も窓際まで行き、何かを訴えかけるように外を見ながら鳴いたそう。
後藤さんが不思議に思い、窓から外を見たところ、宿泊客が倒れているのが分かり、助けることにつながったという。ミケ子ちゃんは窓の近くで様子を見守ってもいたそうだ。
当時は肌寒かったというので、救助が遅くなっていたら、命の危険もあったかもしれない。
ミケ子ちゃんの活躍を受けて、新玉旅館の保護猫活動を支援している、Xアカウント「にゃんたまチャンネル」(@nyantamach222)は次のような文章を投稿。
お泊りのお客様が自販機でお茶を買おうとしたら、こけてしまいました。
脊椎が悪く膝も立たないお客様で杖をついて歩いております。
発見したのは三毛猫のミケ子です。ニャーニャー雄たけびをあげました。
外で何かあったのかなと思って見るとお客様が倒れてました。
これがSNSで話題となり、7万4000以上のいいねを集めた(2月17日時点)。投稿された写真のミケ子ちゃんは、目を細めながら胸を張っているようで、どこか誇らしげだ。
面倒見が良くて「お母さん的存在」
ミケ子ちゃんが旅館で暮らすようになったのは約10歳の頃。もともと地域の人が保護していたが、一緒に住んでいた老夫婦が亡くなったことで、やってきたという。