なぜ骨折が死亡リスクにつながるのか。それは、歩けない状態が続いたり、寝たきりになることで筋力の低下を招き、さらに食欲や意欲も落ちて認知機能が衰えるなど、負のスパイラルに陥ることでもたらされると推測されています。
大腿骨骨折の原因は…
大腿骨骨折の原因は大きく分けて「骨粗鬆症」「転倒」の2つです。動物の骨粗鬆症がそれほど問題にならないことを考えると、長生きする人間だからこそ直面する問題なのかもしれません。
大腿骨は股関節から膝の間にある太い骨で、成人で40センチほどの長さです。上端部は球状で、人間の頭に形が似ていることから「大腿骨頭」と呼ばれます。その下に続く首のようにくびれている部分が「大腿骨頸部」、そこから大きく張り出しているのが「大腿骨転子部」です。
大腿骨において高齢者が骨折することが多いのは「頸部」と「転子部」で、この2か所の骨折を総称して、「大腿骨近位部骨折」と呼んでいます。
歩行機能に重要な役割を果たす股関節は、大腿骨頭と、骨盤の一部の骨の組み合わせでできています。股関節と、その周辺にある靭帯や筋肉が連動して動くことで、私たちは足を自由自在に前後に動かして、歩いたり、走ったりすることができるのです。大腿骨近位部を骨折すると、歩くことができなくなってしまうのはこのためです。
(取材・構成=内田朋子・医療ジャーナリスト)
※本記事の全文(約1万500字)は「文藝春秋」2025年3月号と「文藝春秋PLUS」に掲載されています(齋藤琢「大腿骨骨折 転ばぬ先の傾向と対策」)。全文では下記の内容をお読みいただけます。
・大腿骨はなぜ折れやすい?
・手術翌日からリハビリを
・特別な治療はない
・「要注意の人」の特徴は
・男性も油断は禁物
・「善は急げ」で対策を

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