3 安全な検査であること

 極端な例ですが、がんを確実に早期発見したい場合、毎年「全身造影CT検査」を受ければよいのでは……と思う方もいるかもしれません。しかし、全身造影CT検査は、放射線被ばくが多くなるリスクがあるほか、造影剤による吐き気や血圧の低下といった副作用を起こすリスクもある。つまり、本来病気の早期発見を目指すはずが、検査自体が体に負担をかけ、健康を損ねる可能性があるのです。

画像はイメージです ©faintlight/イメージマート

 安全性の観点からは、以下の点が重要です。

・低侵襲である:体への負担が少なく、痛みや不快感が極めて少ない検査
・被ばくがない:放射線を使わない、またはごく少量で済む検査
・副作用がほとんどない:体内に取り込む薬剤や造影剤が、健康に悪影響を与えにくい検査

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 これらの要件を満たし、繰り返し受けやすい検査をランキングの上位に入れるようにしました。

4 コストパフォーマンスを意識する

 例えば、がんドックのオプション検査には、腫瘍の位置や大きさ、さらに悪性か良性かを判断するための「PET-CT検査」があります。この検査は、病気の「兆し」を見逃さずに捉えるという大きなメリットがあります。

 しかし、1回あたりの検査費用は約10万円と非常に高額です。また、薬物反応や腎臓障害などの副作用を起こすこともあるため安全面でも懸念があり、「偽陽性」などの結果が出て正確にがんであるかどうかが分からないケースもある。

 がんのリスク評価のために近年注目されている遺伝子検査も、遺伝子レベルでがんのリスクや体質を詳しく調べることができる一方で、検査費用が数十万円から100万円もかかることが多い。また、専門的な知識をもった医師による検査結果の解釈が必要になるため、患者さんは検査を受けただけでは、そのまま安心材料にできるわけではありません。

 つまりオプション検査を受けるにあたっては、金額とリスクを考慮して、それでもメリットがあるのか、あるいはデメリットの方が大きいのか、コストパフォーマンスを意識すべきなのです。このコストパフォーマンスの高さもランキングには反映されています。

5 病気の重要度(深刻度)と発生頻度

 検査する病気の重要度や発生頻度もランキングを作る上で考慮にいれました。

 厚生労働省が発行している全死亡の主な原因は1位から順に「悪性新生物(39万人)」「心疾患(23万人)」「老衰(19万人)」「脳血管疾患(10万人)」「肺炎(7.5万人)」「誤嚥性肺炎(6万人)」「不慮の事故」と続きます。

 老衰や不慮の事故はともかく、健康診断でカバーされにくいのが悪性新生物(がん)や脳血管障害などです。血液検査や血圧測定などで「病気の芽」を見つけることができるとはいえ、正確に鑑別するにはやはり限界があります。