そこで、オプション検査には悪性新生物や脳血管障害を念頭においた検査の方が望ましい。

 その意味でがん検診は、標準の健康診断ではカバーしにくいがんの早期発見を目的としており、もちろん大切なオプション検査です。特に今回のランキング上位に挙げたがん検診の項目は、がんのリスクがある方は受けることが望ましいものばかりです。

 一方、必ずしも生命の危機に直結しない病気のためのオプション検査もいくつかあります。例えば代謝に関わるホルモンを調べる「甲状腺機能検査」や、どんなアレルゲンに反応するかを調べる「アレルギー検査」、そして先に紹介した「骨密度検査」などがそれにあたります。

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 もちろん、骨粗しょう症や甲状腺機能低下症、アレルギー疾患も診察すべき重要な疾患ですが、アレルギー症状が全くない人にアレルギーのスクリーニング検査をしたり、年齢が若くて骨粗しょう症のリスクが少ない人に骨密度検査をしたりしても、次の精密検査にまで進む確率は極めて低いはずです。

 そのため、ランキングでは、病気の深刻度や発生頻度を意識して作成しています。

 では、ここからはランキングを発表していきましょう。今回は“ベスト7”を選びました。

第1位は……

 幅広さ:★★★★★
 信頼性:★★★★☆
 安全性:★★★★★
 コスト:★★★★★

 では、まず、第1位です。

 ぜひ幅広い世代で受けていただきたいオプション検査が「腹部超音波」です。数ある検査の中でも1位に選んだ理由は、何といっても「汎用性」の高さです。

第1位は、腹部超音波検査 ©Paylessimages/イメージマート

 腹部の診察は通常であれば、聴診器で患者さんの腸の音を聴き、お腹を触るなどして、患者さんの反応を確認するだけです。もちろんタッピングや反跳痛(腹壁を圧迫し続けてから急に手を離す瞬間に鋭い痛みを感じること)など、医師独自の身体診察のさまざまなテクニックがありますが、それでも画像診断がない限りは、腹部を診察できる範囲は極端に限られてしまいます。

 せいぜい分かったとしても、肝臓の大きさや、腎臓の腫れの強さ、腸についても動きが活発であるかどうか程度のことです。ましてや膵臓や脾臓、膀胱、子宮の状態などはまったくと言っていいほど分からないでしょう。