店の顧客管理に不十分なところがあり、NGにしたはずの客のもとに、再び派遣させられてしまうこともあった。
「身バレ防止のために、自分が住んでいる地域のお客様からの依頼は受けない、という設定にすることもできるのですが、行ってみたらNGの地域の人だった、ということもありました。
これは自分でやるしかないな……と思って、毎回『お客様メモ』をつけていました。ローションやグリンスについても、スタッフが準備するものに不安を感じるようになったので、自分で用意するようにしました。
県内各地に様々な業種のお店を持っているグループだったので、源氏名を使い分けながら、県内各地を回って働きました」
やるならば、しっかりやりたい!
働き始めた当初は、店に対する不信感に加えて、接客に対する不安感もあり、思うように稼げなかった。しかし働いているうちに、自分だけではなく、客側も同じように不安を感じている、ということに気がついた。
「女の子も不安ですが、お客様も『どんな女の子が来るのだろうか』『楽しめるのだろうか』『お金が無駄にならないだろうか』と、すごく不安なんですよね。
不安だから、どうにか元を取ろうと思って、本番要求をしてくる。お客様が不安を感じる暇がないように、こちらから相手に興味を持って、どんどんコミュニケーションやサービスをしていけば、あっという間に時間が過ぎて、満足してもらえる、ということに気づきました」
こうした発見を重ねる中で、「やるならば、しっかりやりたい!」「高収入を得たい!」と考えるようになり、どうすれば客に満足してもらえるか、リピートしてもらえるかを考え、悩みながら、試行錯誤を繰り返した。
「どうやったら、お客様にマンネリせずに楽しんでもらえるかな……と考えて、個人イベントを実施することにしました。お店のイベントではなく、私個人でおこなうオリジナルのイベントです。
季節ごとに、浴衣を着たり、ハロウィンのコスプレをしたり、お菓子のつかみ取りをしたり、といった工夫をしました。
クリスマスには、私がサンタさんのコスプレをして、お客様にくじ引きをしてもらい、引いた番号のプレゼントをもらえる、というイベントもやりました。
個人イベントのことを知らずに、初めて呼んでくれたお客様の中には、『そんなこともやるんだ!』とびっくりされた方もいたけれども、面白がってもらえました。イベントだと、お客様が一人の男性として主役になれるじゃないですか。家庭や会社での役割や肩書を取り払って、子どものようにワクワクしてお菓子のつかみ取りができる時って、なかなかないですよね。もちろん、時間内はずっとお客様が主役です」
気持ちを切り替え、「また会いたいと思ってもらえるキャスト」をスローガンにして、オリジナルの個人イベントをやるようになってから、収入は一気に増えた。店の運営も、経営母体が代わって、当初の険悪な雰囲気が緩和され、内勤に女性スタッフが入るなど、働きやすくなった。そうした中で、平均月収が100万円を超えることもあった。
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