海外で出稼ぎ売春を目論む女性たちを受け入れる組織が各国に存在する。その“中の人”は一体何者なのか……。

 週刊SPA!編集部 国際犯罪取材班による『海外売春 ――女たちの選択――』(扶桑社新書)の一部を抜粋し、カナダで日本人女性を雇い、売春業を取り仕切る男性Mに行った取材のもようを紹介する。(全3回の2回目/続きを読む)

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日本人の女はやっぱりブランドが違う

「理由? それはどこの国の人間よりも稼いでくれるから。勤勉がいちばん。前はこっちの風俗で働くのは中国人か韓国人か、あとはベトナム人。日本人とウソをついて働く韓国人はいても、本当の日本人はいなかった。だから、僕はね、ずーっと日本人の女でマッサージとかインコールをやりたかったの。こっちの男は日本人なら倍は出すってわかってたから。やっぱりブランドが違うよ。それだけ日本人の女は貴重だった。みんな昔から日本のAVを見てるからね。今はマッサージ店を1軒。インコール用のアパートは3軒ある。だけど初めは日本人の女の子を働かせるルートがなかった」

©KeyRabbitsイメージマート

 日本での“仕事”のあと、バンクーバーに来たMは知人を頼って始めた不動産業を生業に事業を大きくしていったという。しかし、「カネ=日本」という歪んだ考え方は日本を離れても消えることはなかった。

 そうして新たに目を付けたのが、当時はまだ世界で“流通”していなかった日本人風俗嬢だった。きっかけは10年前。不動産関連の求人に応募してきたワーキングホリデーの日本人女性だったという。

「その子に日本に向けて情報を流させた。中国人が勧誘しても女の子は信じないでしょ。だから日本人の女の子に直接勧誘させたの。こっちの日本人コミュニティがあるでしょ。そこの掲示板に書いてもらった。でも全然ダメ。ところがSNSが発達してきたからそっちに書いたら反応があった。『こっちに来る飛行機代も出すし、宿泊費もいらない』ってね。最初は半信半疑だったけど、今はもう一度勧誘の書き込みをすれば、50通は来るような状況だよ(笑)。今は風俗嬢の10人に2人か3人が日本人。他の風俗店の中国人経営者たちもまねして、今じゃ日本人の取り合いになってる」