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改ざんの動機「分かりゃ苦労しない」麻生発言に脱力

森友文書問題にまつわる発言を総ざらいする

2018/06/09

genre : ニュース, 政治

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安倍晋三 首相
「公文書の在り方を徹底的に見直し、再発防止策を講じていく。麻生副総理にはその先頭に立って責任を全うしてもらいたい」

時事ドットコム 6月4日

 安倍首相は4日、財務省が決裁文書改ざんの調査結果と関係者の処分を公表したことについて、「公文書の改ざんはあってはならない。行政府の長として責任を痛感している」とした上で、麻生太郎副総理兼財務相を続投させる考えを示した。

安倍首相と麻生財務大臣 ©時事通信社

 安倍首相は「政治責任とはこうしたことが二度と起こらないよう対策を徹底して講じていくことだ」と強調したが、対策を徹底して講じるには原因の究明が欠かせない。

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麻生太郎 副総理兼財務相
「首相答弁が問題行為のきっかけになったとは考えていない」

東京新聞 6月8日

 4日の記者会見で改ざんの動機について「分かりゃ苦労しない」と述べた麻生氏だが、8日の閣議後会見では「(2017年2月の)首相答弁が問題行為のきっかけになったとは考えていない」と述べ、安倍首相の答弁が改ざんの動機になったことを全面的に否定した。これまで述べてきたとおり、首相の答弁の直後から理財局が昭恵氏の名前を記した書類の確認を始めて、その後、改ざんと廃棄を始めたことが財務省の調査報告書では明らかになっているが、麻生氏はそれを真っ向から否定した形だ。

 また、改ざん・廃棄の方向性を決めた佐川氏にあらためて説明させる場を設けさせることについても、麻生氏は「今の段階で全く考えていない」と話した。これで完全に改ざん・廃棄の動機は闇の中だ。安倍首相の言う「再発防止策」はどのように講じられるというのか。

 公文書管理に詳しい右崎正博獨協大名誉教授はこう言う。「麻生氏に任せていては自分の失敗を糊塗するばかり考えているので、きちんとした調査も再発防止策も期待できるはずがない。疑惑を受けてきた当人たちの調査結果や処分など、到底受け入れられるはずがありません」(AERA dot. 6月4日)。

吉永泰之 SUBARU社長
「会社に宿るうみを出し尽くすことが喫緊の問題と考えている」

日本経済新聞 6月5日

 出荷前の自動車の排ガスと燃費の検査の測定値を改ざんしていた問題が発覚したSUBARUでは、5日、吉永社長が最高経営責任者(CEO)の辞任と代表権のない会長に就く人事を発表した。

記者会見するSUBARUの吉永泰之社長 ©時事通信社

 吉永氏は記者会見で「確実にやり切るためには社長を辞するだけでなく、代表権を持たず、新職に専念することが責任ある対応と考えた」と述べている。麻生氏も「分かりゃ苦労しない」だなんて言ってないで、財務相を辞職して再発防止に専念してみたらどうだろうか。

改ざんの動機「分かりゃ苦労しない」麻生発言に脱力

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