いまの日本の現状

 だが、これらのインフラを維持する財源は全く足りていないと家田氏は指摘する。

「市町村の財源における土木費は1993年度の11.5兆円をピークに、直近の5年は6.5兆円前後とピーク時の約6割に落ち込んでいます」

 もちろん人材も全く足りていない。

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「道路や橋、上下水道の約7割は市区町村が管理しています。これらの市区町村のうち、25%の437団体では技術系職員が全くいません。約5割の827団体では5人以下の技術系職員だけでインフラの仕事にあたっています。このような恐ろしいほどの少人数で、インフラの点検や補修の発注、そのための予算要求などの業務を行っているのが、いまの日本の現状なのです」

 では、どうすればいいのか。家田氏はかねてより提唱してきた“インフラ群マネジメント”構想を語り、国民にインフラの維持管理を自分ごととして考えてほしいと述べた。

 家田氏の緊急提言「老朽インフラ事故防止に秘策あり」は、月刊文藝春秋4月号(3月10日発売)、および月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」(3月9日公開)に掲載されている。

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