経営側の団体は「連帯労組(=関生)を完全に排除するまで闘う」と宣言。ストに参加した組合員らを刑事告発・告訴した。これ以降、滋賀・京都・大阪・和歌山の各警察が相次いで関生組合員を様々な容疑で逮捕。中には、子どもを保育園に通わせるのに必要な就労証明書を職場に求めたのが“強要未遂”だとされたケースもあった。逮捕者は当時の武建一委員長をはじめ81人に上り、戦後最大規模の労働事件となった。
右翼団体「我々は業務委託として給料をもらっている」
攻撃は他でも始まった。右翼活動家で「ネット右翼の生みの親」とも称される瀬戸弘幸氏が大阪で関生を批判する街宣活動に乗り出した。その様子を動画で拡散し、「関生は暴力集団」というイメージが全国に広がった。だが瀬戸氏の本拠は福島市にある。なぜ急に大阪で関生批判を始めたのか? 取材陣が訪れると瀬戸氏は「右翼として関生を許せなかった」と主張しながらも、きっかけは別にあることを打ち明けた。
「大阪広域(生コン経営側の団体)の木村(貴洋)理事長から直接電話があって。『武建一という男に今いじめられているから何とか助けてください』と」
さらに、こんな裏事情も明かした。
「私は70万、毎月もらいました」
これに取材陣が突っ込む。
「右翼活動って国士じゃないですか。それにお金を対価としてもらうっていうのは」
すると瀬戸氏は、
「あなた方、仕事して金もらってるでしょ。我々も給料としてもらってるんです。業務委託として」
経営者が労組との団体交渉を拒むのは違法
実際、経営側団体の木村理事長や地神秀治副理事長が瀬戸氏の街宣現場にいる姿がカメラに捉えられている。取材を申し込んでも応じなかったため、取材陣は新年互例会に出席したところを直撃した。
「どうして瀬戸さんにお金まで出されたんですか?」
「もうやめろ」
カメラのレンズをふさぐ木村理事長。それでも取材陣はあきらめない。地神副理事長が会場から出てきたところでぶら下がった。すると、
「彼ら(関生)は我々が圧力をかけてるとかいろいろ言うけど、誰とお付き合いする、しないというのは我々も選ぶ権利があると思うんですよ。それでお付き合いしたくないという結論に至ったので、何も問題ない」
個人的な関係ならいざ知らず、経営者が労組との団体交渉を拒むのは不当労働行為として労働組合法で禁止されている。食い下がる取材陣に対し、記事冒頭の「関生は労働組合とは思わない」という本音が飛び出る。“反社”扱いしているが、自分たちが右翼団体に依頼したことはどうなるのだろう? こうした経営側や右翼団体への直撃取材は、皆さんにおススメしたい映画の見どころの一つだ。

