政治の中心地、東京・霞が関から“マル秘”政界情報をくわしくお伝えする『文藝春秋』の名物コラム「霞が関コンフィデンシャル」。最新号から、ダイジェストで紹介します。
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トランプ会談の裏で……
1月、国家安全保障局長に転じた岡野正敬前次官(昭和62年)に代わり、船越健裕新次官(63年)が誕生した外務省だが、早くも次期次官レースが取り沙汰されている。
まず注目されるのが、船越氏と入れ替わりで外務審議官(政務)に就任した鯰博行氏(平成元年)である。ロンドンの立教英国学院高から東大に入学。同期入省には市川恵一内閣官房副長官補や城内実経済安全保障担当大臣らがいる。入省後は、国連日本政府代表部大使や国際法局長、アジア大洋州局長などを歴任し、省内のエリートコースを歩んできた。
2月に行われた日米首脳会談でドナルド・トランプ大統領対策の司令塔となったのは岡野局長だが、鯰氏もまた、その評価を高めていた。
首脳会談に向けて年初から行われたのが、休日返上の「勉強会」である。外務省の総合外交政策局を筆頭に所管の北米局、経済局、国際協力局に加え、内閣官房の国家安全保障局や財務省、経産省などの担当部局を含め霞が関が総動員された。
石破首相と岩屋毅外相用の「想定問答集」をはじめ、数字や地図を盛り込んだチャート、過去の首脳会談で問題視された事案をまとめた資料など膨大なペーパーが用意された。貿易摩擦問題に向けては、各国の選挙制度一覧まで用意されたという。
その日のテーマに応じて各省の次官や局長、審議官級がレクチャーする中で、首相がとりわけ強い関心を抱いたのが鯰氏だった。省内で「蘊蓄の鯰」と称されるほどの博学で知られる鯰氏のブリーフィングに、外交が不得手と言われる首相はいたく感心していたという。
結果、各所から「会談は成功裏に終わった」との評を得たことで自信を強め、周辺には「(トランプ氏に)一歩も引けを取らなかった」と自賛した。《記事の続きでは、外務省の次期次官候補と取り沙汰される人物の評判を語っています》
※本記事の全文(約5400文字)は、月刊文藝春秋のウェブメディア「文藝春秋PLUS」と、「文藝春秋」2025年4月号に掲載されています(霞が関コンフィデンシャル)。全文では下記の内容をお読みいただけます。
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