児童精神科へ行こうとしたが、さいたま市内の病院は予約でいっぱいで、通うことができず、遠方の別の病院を見つけて通うようになり、シロウくんはどうにか持ち直していった。
「その後も、『死にたい』と思うことは何度もありました。それでもなんとか感情を抑えて、今は薬も飲んでいるので以前よりは眠れるようになりました」
2023年7月、小学校の「いじめ対策委員会」が、いじめ防止対策推進法に基づいて、調査を行った。メンバーは校長、教頭、担任の他に養護教諭やスクールカウンセラーを含む十数人だ。
調査によって、A子さんのメガネがトイレに流された事件について、シロウくんの証言と男子児童3人の証言内容に齟齬があることがわかった。クラスでのアンケートや聞き取りでは事態は進展しなかった。調査開始から3カ月後の10月に出された結論は、シロウくんと男子児童3人がトイレの個室に入ってA子さんのメガネを流したことは確定したものの、「強要という行為があったかという事実の認定には至らなかった」というものだった。
「捜査が終わるまでは調査を終わらせないでほしい。納得がいかない」
「加害児童の1人は、事件が発覚した直後に担任に『シロウくんがメガネを隠したところを見た』と証言していたが、後に『実際に見たわけでない』と内容が変わるなど、辻褄が合わない部分がいくつもあります。それなのに学校側はそれらをすべて無視して、『いじめはなかった』と結論づけたんです。当初はすぐに解決するだろうと思っていたのですが、証言の食い違いが検証されず、息子への強要があったことすら認められませんでした」(母親)
その後、3人の児童のうち1人の証言の内容に齟齬が見つかったことをきっかけに「いじめ重大事態」に認定され、学校ではなくさいたま市の教育委員会の下に、第三者委員会が設立され、新たな調査が開始され、現在も続いている。
「男子児童3人は調査を拒否していると聞きました。警察にも捜査をお願いしているのですが、捜査が終わるまでは調査を終わらせないでほしいです。このままでは納得がいかないです」(母親)
