夏ごろにはノートにこんな書き込みが残っている。
いやだって言ったのに 三人が
やれって
こわかった 夢に出てくる
犯人が うそをついているのに
自分のせいにされた
頭の中が消えたいで
いっぱいになる
先生に本当の事を話したのに
たすけてくれなかった。
母親がこの書き込みを見つけたのは9月ごろになってからだった。夏休みが明けても、シロウくんは登校を再開できてはいなかった。
「学校に関連するものを片付けていたら、遺書のようなメモが自宅学習用のノートに挟まっていたんです。聞きたいことは山ほどあったんですが、それでも親として家ではずっと事件に触れない方がいいのではないかと思っていました」(母親)
不登校の状態は続き、12月に入る頃には「もう嫌だな、死んじゃおうかな」と思うことが増え、衝動的に「死のう」と思う日もあったという。そして12月中旬、校門付近にいた児童たちがシロウくんの名前を言いながら家の方を見ているように感じ、シロウくんの精神は限界を迎えた。
「母親がお風呂に入っているときに死のうと思いました」
「学校でいろいろ言われているのを想像してしまいました。夕方でしたが、母親がお風呂に入っているときに死のうと思いました。母親に見つかったときのことは覚えていません」
ヒロシくんの自殺未遂を目の当たりにした母親は当時の衝撃をこう振り返る。
「当時は私も追い詰められていて、学校側から見えないように、カーテンを閉めてずっと寝込んでいました。その日はお風呂に入って、出たらリビングにも自分の部屋にも息子がいなかったんです。慌てて探したら、玄関で……。息子が追い詰められているのはわかっていたはずなのに、実際に目にするまでその可能性は考えていませんでした」

