2023年、埼玉県さいたま市内の小学校に通う6年生だったシロウくん(仮名)が、クラス内で起きたイジメの加害者に仕立て上げられ、それを苦にして自殺未遂に追い込まれた事件。

 シロウくんは3人の男子児童に脅され、同じクラスのA子さんのメガネをトイレに流させられた。3人が口裏を合わせてシロウ君が主犯だと訴え、担任もその証言を信じてシロウくんを問い詰めてきた。

クラス内で起きたイジメの首謀者に仕立て上げられたシロウくん

 シロウくんの母親も、学校の対応には納得していないという。

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「学校からは今でも息子が加害者という扱いになっています。でも先生にメガネの件を言えなかったのは、仕返しを恐れていたからなのに……」(母親)

「先生は信じてくれず、電話で呼び出しを受けました」

 この聞き取り後、シロウくんは学校に通えなくなった。

「両親には学校に行かなくなってから本当のことを言いました。親は信じてくれましたが、同じ話をしても先生は信じてくれず、電話でまた呼び出しを受けました。そのときも同じことを言いましたが、やっぱり信じてもらえない。3対1だからでしょうか……。信じてもらえないのは辛いです」

 A子さんのメガネが流されたトイレ 保護者提供

 シロウくんの自宅は学校に近く、窓からは学校が見える。シロウくんは一度、校門の前でクラスメイトが話をしながら自分の家の方を見ている気がしたという。

「辛くて夜眠れず、2~3時間ですぐに起きてしまいました。食欲がなかったときもあります。楽しいことが何もなく、体重も6キロ減りました」

 6月中旬から不登校になったシロウくんの精神状態は悪化の一途をたどった。しかも5年生のときにシロウくんの消しゴムを何度も取った女子児童からは、学校のタブレット端末を利用して「本当のことを話して」等のメッセージが届いた。そのため、A子さんのメガネをトイレに流したのがシロウくんであるという噂が広がっていると感じ、泣きながら「死にたい」と保護者に訴えたこともある。