水谷 そうですね。短い間ですけど、ディベートサークルに入りました。中高時代からたまに練習に行かせてもらっていたサークルで、通常は1年生が出ない大会にチーム戦で出させてもらいました。その1学期のおかげで、今でも遊ぶ慶應のサークルの友だちがいます。

アメリカの大学を目指した理由

――どうしてアメリカのその大学に行きたかったんですか。

水谷 小さい学校だからです。クラスが20人とか25人で、教授が全部の宿題を添削までしてくれるような環境なんです。授業を聴くだけじゃなく、みんなで考えて話したり、アウトプットしたり……。高校2年生のときに行ったサマースクールで、そういうリベラル・アーツ・カレッジの存在を知って楽しそうだなと思ってて。とくにグリネル大学は教養と批判的思考力を身につけることが第一の学校で、教育熱心な教授ばっかりで、面白い先生もいっぱいいました。ただ勉強はめちゃくちゃ大変でした。

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――不勉強ですみません。そもそも、ジェンダー学ってどういうものなんですか。

水谷 ジェンダーって、生物学的な性とは違う、社会や文化で形成された性のことです。ジェンダー学は、かつて女性が大学に行けなかった時代に、大学教育や哲学を批判的に分析する視点を持った頭のいい女性たちが中心になってできた学問で、何事も批判的に見たり、分析・評価したりして、すべての人が幸せに暮らしていけることを根本的なテーマにしています。私は文系でしたけど、文学、哲学、社会学、歴史学、自然科学などいろんな観点から性別や性差別について考えます。自分の価値観や既存の価値観を徹底的に見直していくことを、3年間みっちりやってすごく面白かったです。

――ジェンダー学を学んだことと、その後にAV業界に入ること。そのふたつは関係していますか。

水谷 そうですね。AV以前に、大学時代からいろんなアングラエロシーンを探検したり、風俗を経験したりしたんですけど、個人的にはグリネル大学でジェンダー学を専攻したことが、そうした体験のモチベーションの裏にあります。気分的にはずっと、野良の文化人類学フィールドワーカーって感じでしたから。そうした職務経験のない部外者として、セックスワークや日本の性にまつわる文化について勉強し続けるのは、「何か違うなぁ」と思っていました。そうした世界に溶け込めてる人が書いてる本の方が個人的に面白かったので、私が浸かれる世界にどっぷり浸かりに行きました。

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