追い出されるような“返金”対応

「こんなにも淡々とした対応は、絶対にメンバーの意志じゃない」と嘆くのはAさんです。

「仮にも一世を風靡したグループが解散するというのに、ファイナルコンサートもなければ、メモリアルグッズの発売もないんですよ? もしメンバーの気持ちが反映されているなら、こんな無情な終わり方はしないと思うんです。

 3月5日にはファンクラブ会員向けに『ファンクラブ閉鎖に伴う年会費の返金』について案内が届きました。その後、3月23日には『(ファンクラブ会員の誕生日に送付している)バースデーカードを届けられなくなるので、(代わりとして)バースデー動画を送る』という報せが来ました。お金のことだから一刻も早く……ということなんでしょうけど、気持ちの整理もつかないのに追い立てられるようで悲しくなりました」(Aさん)

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デビュー前に行われたコンサートのパンフレット(筆者私物)

 会費の返金や代替サービスの提供は解散したほかのグループでも同様だったので、あえて無下な扱いをされたわけではないかもしれません。しかしながら、ライブやグッズの発売もないのは、残念でなりません。

デビュー10周年とともに“充電期間”に入ったときは……

 筆者はデビュー前からKAT-TUNをみつめてきた1人ですが、これまで彼らがいかにファンへのケアに心を砕いてきたか実感してきたので、今回の流れには違和感を覚えます。なぜなら、KAT-TUNは困難に見舞われるたび、“hyphen”(=ハイフン。KAT-TUNファンの愛称)と丁寧に向き合ってきてくれた歴史があるからです。

 たとえば2016年。亀梨さん、上田さん、中丸さんの3人体制となったKAT-TUNは、「1年先になるか2年先になるかわからないけど、メンバーそれぞれが強くなって必ずKAT-TUNに戻ってくる」(亀梨さん)として充電期間に入ることを発表しました。

「Ask Yourself」(2018年)

“充電”前に行ったデビュー10周年記念コンサートではオリジナルグッズに“充電器”をラインアップし、ファンが微笑みながら過ごせるよう知恵をしぼってくれました。

亀梨がグループ活動に込めていた思い

 さらに胸に残っているのは“充電中”の2016年12月7日。

 帝国劇場(帝劇)で上演された舞台「ジャニーズ・オールスターズ・アイランド」に亀梨さんがシークレットゲストとして登場した際の出来事です。帝劇の座長経験もある亀梨さんは、ソロ曲「LOST MY WAY」「絆」「1582」の3曲を披露し、満席の会場を沸かせました。

亀梨和也〔2015年撮影〕 ©文藝春秋

 グループの曲ではなくソロ曲を選んだのは、「KAT-TUNの曲はKAT-TUNファンの前でしかるべき時に歌う」という思いがあったからだと思います。

 現にこの時亀梨さんは「(今は充電期間中なので)KAT-TUNや亀梨のファンの人には、『なんで私たちより前に(他のファンに会うの)?』って思われちゃうかもしれないから、伝えてください。来年はみんなのところに飛んでいくからって」と観客の方々にメッセージを託し、自らのファンを思いやったのです。

 これほどファン思いの人たちが、急ブレーキのような解散を決断するとはにわかに信じられません。これまでのKAT-TUNであれば、仮に解散の道を選ぶとしても、より多くのファンが納得できるような方法を考え抜いていたのではないか……。多くのファンが混乱している背景には、こうした疑問が大いにあるのではないでしょうか。