人生の確変、AVの世界へ
──それまでアダルトビデオについて知識があったのですか。
小湊 何も知りませんでした、と言うほど清純派ではなくて(笑)。女性がマッサージされているAVをよく観ていました。オイルを塗られた女性が気持ちよくしている姿を見ながら、休みの日にこっそり自慰行為をするのが、私の中ではなくてはならない時間でした。
獣のような別の自分になる感覚が面白く、満足感もあり、ストレス発散になっていたのだと思います。以前なら人に言えることじゃないし、まさか仕事に繋がるなんて考えていなかったから、一生隠していくつもりでした。
──実際にその映像の中に自分が入ることは、勇気が必要だったと思います。
小湊 世間からのイメージはわかっていたし、賛否両論があるのは自覚していたので、1年ちょっと考えながら会社員を続けていました。
でも考えていても毎日は過ぎていくし、年齢が上がっていくのも感じていて。踏み出した後のことを想像すると、自分がワクワクしているのに気づきました。
自信がないままの状態から、抜け出せる方法をずっと探していたのかもしれません。いろいろ言われるだろうけども、結局決めるのは自分だと思って、面接をお願いしたんです。表に出るチャレンジは、これを最後にするつもりでした。
──会社を辞めることへの未練はありませんでしたか?
小湊 みなさん、本当に良い方ばかりで、仕事もやり甲斐があって、自分を成長させてくれた職場だったので、もちろん未練はありました。
ご迷惑がかからないように、中途半端に関わることはやめていますが、今でも一緒に働いていた方のお顔を思い出すことがあります。
──自分自身の変化は感じましたか?
小湊 AV女優になるって決めてから、秘密にしてきたことを公然と言えるようになったし、自信がなかった自分の殻が破れた気がしました。恥ずかしいことだって言っていいんだと思ったら、コンプレックスだったことに向き合えたというか。
太りやすいとか、メンタルが弱いとか、隠さなきゃいけないって思ってきたことが、それも全部自分だし、それで成り立っているって思えるようになった。服脱いで裸を見せているのに、もう隠すものないじゃないですか。やっと自分を認められるようになりました。

